「あなたのビルの屋上を太陽光発電に使わせてください」

ビル屋上で太陽光発電ができる「アーバンルーフシェア」を開発。
東京でエネルギーの地産地消を目指す起業家。


―5階以上のビル屋上を対象にした太陽光発電事業です
「アーバンルーフシェア」は、弊社低重心架台を使って太陽光パネルを置くだけです。従来工法に比べ軽量化されているので、ビルの構造強度負担が大幅に軽減されます。非常用の電源確保策にもなり、ガソリンなど危険物の保管も不要です。

―ビル屋上での太陽光発電事業（東京屋上発電所）は、採算や安全面から難しいと言われていました
初期投資やメンテナンスを考えると投資効率が悪かったからです。その上、ビルオーナーは屋上の躯体や防水層を傷つける工事を嫌がります。「アーバンルーフシェア」はアンカーを打ち込みませんので躯体や防水層を傷つけません。

―東京屋上発電所の実績を教えてください
2013年8月から11月まで東京都内で30ヶ所の設置実績です。その発電予測は370Kwで年間売電収入は15百万円の見込みです。

―東京屋上発電所は狭いビルでも対応できます
パネルを分割設置できるので、ペンシルビルの屋上でも障害物を避けて必要面積の確保が可能です。施工は組み立て中心で、半日もあれば完成します。

―ビル屋上では強風が心配です
耐風安定性は風洞実験の結果、メーカーからも安全性は保証されています。さらに東京海上日動火災による対物・対人損害賠償保険で、設置パネルに関する保障体制を整えています。もちろん建築基準法や容積率もクリアしています。

―「アーバンルーフシェア」のコアとなる低重心架台は、実用新案登録を取得されています
パネル周囲を塞ぎ風圧に耐える形状デザインにオリジナル性があります。特許取得は時間もかかるので、実用新案で十分です。当社はメーカーとして、この低重心架台をパネル設置会社にも販売していき、収益の大きな柱にしていきます。

―東京屋上発電所はビルオーナーから屋上を借りるビジネスモデルです
最長20年間固定の賃借契約を結び協力金を毎年お支払いします。設置費用、メンテ費用、面倒な手続きなど、すべて当社が行いビルオーナーには負担をかけません。

―販売方式ではなく、借上方式で採算は大丈夫でしょうか
平均300万円の設置費用に対して、20年間の売電収入で表面利回り約８％前後の計算です。太陽光発電の固定価格買取制度は見直しされても、家庭向けの10キロワット以下は買取拒否できません。５年後に東京を中心とした近郊に約2万棟に設置する計画です。

―エネルギーの地産地消が必要という事ですね
東京は日本最大の電力消費地ですが、地方で作られる電力に依存しています。私たちの目標は東京都内に35メガワットの自然エネルギー発電所を作る事です。問題は送電コストです。送電線の建設費用だけでなく送電ロスもあります。例えば北海道から東京の送電では約50％がロスになります。

―株式公開についてはどのようにお考えですか
来年3月の東京プロ市場上場に向けて現在準備中です。第三者割当増資やSPC、財団設立など様々な資金調達方法を検討しています。そのためには上場によって信用力を増すことが有効だと考えています。

―三菱系列の会社とはパートナーの関係にあります
資本関係はありませんが、社名に「菱」の字を使うほど三菱系列の会社とは信頼関係にあり、ミサワホーム時代から三菱電機様とは各種のシステム開発に関わってきました。現在までに三菱太陽光発電システムの設置実績は、東京23区内1617件で約3.7メガワットを発電しています。

―ミサワホームの出身です
元々は日本ユニシスのシステム開発責任者でしたが、ミサワホームにヘッドハンティングされました。企画力を評価され、なんでも新しい事にチャレンジさせてくれました。太陽光システムを取り入れた住宅企画は20年以上前に手掛け、その事が現在の事業に繋がっています。

―女性社員の活用に積極的ですね
従業員のうち7割は女性で、女性役員もいます。「アーバンルーフシェア」の開発を手掛けたのも女性社員です。女性は頭の回転も早く仕事に対する忠誠心も高いのが特徴の一つです。

※「THE INDEPENDENTS」2014年11月号 - p4-5より