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「技術系ベンチャーの資金調達」

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【國本 行彦】
1960年東京都豊島区出身。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年(株)インディペンデンツ設立、代表取締役就任。

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NEDOの「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」(2014年5月公表)では129件の助成事業が採択されました。テクノロジー・イノベーション分野では、基礎研究は政府が、応用研究は民間企業が担うのが近年の世界的傾向です。米国NASAやイスラエルの軍事開発からのスピンオフが最先端テクノロジー・ベンチャー企業を産み出しています。日本においても政府系の開発資金がなければ、テクノロジーベンチャー企業は育たないのが現状です。

もちろん補助金財源は税金ですので、モラルハザードの観点からも企業側も自己資金も準備する必要があります。日本の補助率は上限2/3で、1/3は自己資金の調達が必要となりますが、イスラエルやシンガポールでは補助率は85%(自己資金15%)です。数億円規模の技術開発では助成事業の採択を受けても、ベンチャー企業は自己資金調達に苦労します。イノベーション推進のためには、研究開発に対する補助率の引き上げが望まれます。

自己資金の調達にはエクイティファイナンス(投資)が最適ですが、投資と補助金では目利きの観点が違います。技術関係の助成事業採択においては、優位性、独自性、緊急性が審査のポイントになります。一方で、投資においては収益性が大切であり、ベンチャー投資の場合はさらに起業家の情熱が重要なポイントになります。

イノベーションには、テクノロジーとマーケット(収益)が必要です。技術開発が目的の政府系補助金だけでは、マーケットを創造できません。しかし収益期待だけの民間エクイティでは事業の方向性を誤らせる事もときにあります。技術系ベンチャーには、政府資金と民間資金の両方からのリスクマネー提供が必要です。

※「THE INDEPENDENTS」2014年10月号 - p3より

【ベンチャー投資を考える第63回】起業家の決断

【技術系ベンチャー振興の課題と方策】安永 裕幸(経済産業省 産業技術環境局 大臣官房審議官)