アイキャッチ

「「技術系ベンチャー振興の課題と方策」2014」

公開


経済産業省 産業技術環境局
大臣官房審議官 安永 裕幸 氏

1962年長崎県生まれ。
1986年東京大学工学部資源開発工学科修士課程修了後、通商産業省入省(基礎産業局総務課)。
機械情報産業局宇宙産業課、資源エネルギー庁鉱業課、米国コロラド鉱山大学留学(資源経済学修士課程)、資源エネルギー庁国際資源課、機械情報産業局電子機器課、通商政策局南東アジア大洋州課、商務流通グループ商政課、NEDO出向を経て、産業技術環境局研究開発課長に着任に着任。
原子力安全・保安院ガス安全課長、資源エネルギー庁鉱物資源課長を経て現職。

国際競争が激化する中、国の技術政策が産業競争力を決する重要な鍵になっています。革新的な技術開発において、いかに国が役割を果たすかを世界的に競い合う状況になっています。 特に我が国のイノベーション創出には、技術シーズを事業化する「橋渡し」のシステムが必要です。

経済産業省の独立行政法人である産業技術総合研究所(産総研)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、革新的技術シーズを迅速に実用化する「橋渡し」システムを強化し、中堅・中小・ベンチャー企業の育成・支援をしていきます。各地の公的試験研究機関や大学とも連携していき、イノベーションを担う人材の育成・活用強化や、技術系ベンチャーの育成を支援する制度も設けています。

技術系ベンチャー企業の資金調達は厳しい状況が続いています。製造業系の企業は、技術の実用化までに多額の研究開発資金と時間が必要であり、他の業種に比べて起業や事業化へのハードルは高くなっています。一方で、米国では、VC・エンジェル投資も合わせると投資総額は5兆円と日本の50倍です。特に設立間もないスタートアップ企業を支援するシードアクセレータの活動は、IT分野が中心であり製造業系ベンチャー支援は限定的です。

研究開発のリスクは国が取ります。国のお金は、税金だからこそ、チャレンジする人に使ってもらうべきです。NEDOの平成25年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業(約95億円)では、公募で選定された129件の研究開発型ベンチャー企業に対して、実用化開発費の2/3の補助を決定しております。

助成採択の提案書は、独自性・優位性・緊急性を明確にわかりやすく丁寧に書いてください。昨年度の採択率はだいたい3割です。優位性とは他者との比較、独自性は発想のユニークさ、緊急性は早期導入の意義、がポイントです。全国各地で開催するNEDOの説明会にぜひ参加し、書き方が分からなければ担当者に尋ねて下さい。私たちも、来年に向けて予算獲得や制度の改善など使い勝手を良くしていき、技術系ベンチャー支援を強化していきます。皆様からのご要望をどんどん寄せてください。本日はありがとうございました。

2014年9月19日浜松インデペンデンツクラブ 基調講演より
【講演レポート】技術系ベンチャー振興の課題と方策(安永 裕幸)
【ベンチャー投資を考える】技術系ベンチャーの資金調達(國本 行彦)