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「「クールジャパン機構の投資戦略」」

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【取締役最高投資責任者 吉崎 浩一郎】
1990年代後半よりシュローダー・ベンチャーズ、MKSパートナーズにてベンチャー投資、バイアウト投資、企業再生投資を幅広く実践。
2005年よりカーライル・グループのアジア向け成長投資ファンドにて中堅企業、成長企業への投資を担当。
2010年グロース・イニシアティブを設立し、成長性のある日本の中堅企業への投資及びアドバイザリー活動を展開。
VC/PE業界参画以前は、日本AT&Tにて通信サービスのスタートアップ、三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)にて国際金融業務、法人融資業務を担当。2013年11月より現職。

【株式会社海外需要開拓支援機構】
設 立:2013年11月
資本金:385億円(2014年3月31日現在)
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー17F
役 員:代表取締役会長 飯島
一暢、代表取締役社長 太田伸之

クールジャパン機構(通称)は昨年2013年11月に立ち上がった官民ファンドです。30名の投資チームが「クールジャパン」をテーマに、海外展開を志向する事業にリスクマネーを提供します。官民ファンドと言えば主にテクノロジーやイノベーションという切り口でB2B企業に投資する「産業革新機構」があります。それに対し、クールジャパン機構ではB2C、B2B2C企業の海外展開を支援します。

日本人が感じる価値と外国人が感じる価値にはギャップがあります。訪日観光客に日本酒は人気ですが、一升瓶では持ち帰るには重過ぎます。そこで四合瓶を大々的に案内したところ売上が驚くほど伸びました。中東で非常に人気があり、ニューヨークでも超高級デパートに並ぶ日本の老舗菓子店の洋菓子などもあります。その国にとって何が価値なのかを分析し、丁寧にローカライズしていく視点が大切です。当機構には海外経験豊富なメンバーが多く、情報や人材面での支援体制を充実させています。

投資決定においては、「政策的意義」や「波及効果」を重要視しています。イスラム圏への食展開ではハラル認証が必須です。製造加工方法だけでなく物流に至るまでイスラム法の下で禁じられている食材・加工法を用いていないことを証明するには、個別企業での対応はハードルが高くなります。そこでハラル対応するインフラ構築へ投資して、日本企業のイスラム圏展開を支援する、このようなことを手がけていきたいと考えています。個別企業の成功に留まらず、産業、ひいては日本にとってプラスになるかが投資基準です。

もちろん国民のお金をお預かりしている以上、リスク・リターンプロファイルがプロットできるような、経済合理性を満たす案件に投資していくのが基本的な考えです。一方で、官民ファンドならではのクロスボーダー投資や複数企業連携プロジェクト投資、民間資金への呼び水的投資なども手がけながら、ポートフォリオ全体で収益とのバランスをとっていきます。投資規模については、ベンチャー投資から大企業との共同投資まで幅広いレンジで考えています。当機構は設置期間20年間のファンドですので、5年以上と比較的長い期間リスクを取れる事が特徴です。エグジットについてはIPOだけでなく、投資先やコインベスターと相談の上、じっくりと検討していきます。

民間投資会社がリスクを取りきれない「穴」にも目を向けながら、民業補完を意識していくのが我々官民ファンドです。日本全国至る所には、我々がまだ知らないクールジャパンが眠っています。ここ関西においても、皆様と協業させていただく機会があれば幸いです。

2014年7月3日大阪インデペンデンツクラブ 基調講演より

【新潟インデペンデンツクラブ】2014年10月28日(火)@ジョブプレイス新潟駅南
【北海道インデペンデンツクラブ】2014年11月13日(木)@札幌証券取引所
【広島チャレンジ企業セミナー】2014年11月26日(水)@サテライトキャンパス広島
【九州インデペンデンツクラブ】2014年11月27日(木)@福岡県Ruby・コンテンツ産業振興センター