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「創造的組織のマネジメント」

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静岡県立大学
経営情報学部 特任教授

1969年慶應義塾大学商学部卒業。
1971年慶應義塾大学大学院商学研究科修了(商学修士)。
1975年米国ノースウエスターン大学経営大学院修了(MBA)。
1976年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程満期退学。
1988年より慶應義塾大学大学院教授。
2008年慶應義塾大学名誉教授。
2008年静岡県立大学に着任。2013年より現職。
日本ファミリービジネス学会会長、日本ベンチャー学会副会長、米国ノースウエスターン大学ケロッグ経営大学院同窓会評議員などの要職も歴任。

■知識創造の場としての組織
これからは知識創造型組織が主役の時代になる。技術開発、デザイン、開発、調達、生産技術、販売、マーケティング、物流、財務、法務、戦略構想など様々な面で知識創造をおこなう。その知識創造の蓄積が組織の「知識資本」となる。この「知識資本」こそ、企業の競争力の源泉である。組織はその意味で知識創造の「場」となる。

■組織作りが会社の命運を握る
サッカーと同じように、ビジネスにおいても強い個人の存在が創造的組織の前提条件。ただ、その一人に依存する組織は長続きしない。いかに組織の能力としてマネジメントしていくかが重要。組織能力とはその会社の持つ固有の経営資源、知識、文化の束であり、他社がそう容易に真似できないものを指す。これらが結果として、その組織の競争優位性を高め、継続させてくれる。

■企業内イノベーションのマネジメント
組織からイノベーションが次々と創出と出てくる仕組みづくりも大事である。リクルートや3Mには社内ベンチャー制度があるが、共通しているのは自発性を促す「手上げ」とそれをチームで遂行する「この指とまれ」のルールである。そして、自己完結型として、アイデア・シーズからビジネスにするまで、強いコミットメントと自己責任が求められること。

■グーグルの開発チーム
グーグルでは、すべてのアイデアは全員に共有され、ネット上で議論が尽くされ、優先順位が決まる。そして、小さな開発ユニットが編成され、全力疾走でサービスの機能設計、プログラム開発、テスト、サービス投入までおこなわれる。グーグルは社内に1000もの開発ユニットがあり、開発資金や人材の獲得で激しい競争がおきている。スピードと組織内競争がグーグルのワーキングカルチャーであり、創造性とともに生産性を向上させている。

■創造的組織に見られる4つの特質
①高度な自律性
高い目標設定とリスクテイキングで、ときに組織の枠を乗り越えて仕事を成し遂げる個人の存在。
②組織内競争メカニズム
組織の中に金融、労働、資材調達の市場が存在し、自然淘汰の競争メカニズムによって秩序が形成される。
③情報共有性
モチベーションの高いメンバーだけで構成される小さな組織で、全ての情報が共有され、ものすごいスピードで物事を進める。
④オープン性
情報はすべて公開され、誰でもどんな情報にもアクセスできること。

2014年6月27日静岡インデペンデンツクラブ 基調講演より