「「創業を考える」」
=$DATE?> 公開
=$CORP_NAME?>
=$CORP_KANA?>
=$CORP_KANA?>
=$PERSON_POSITION?> =$PERSON_NAME?>
=$PERSON_KANA?>
=$PERSON_KANA?>
=$NAME2?> =$NAME3?>
=$NAME4?>
アベノミクスの第三の矢、成長戦略では日本の開業率を現状の5%程度から倍の10%レベルに引き上げることを打ち出している。開業率という数値を統計的に正確に捉えるのは、実は簡単ではない。日本では、基本的には3年毎に行われてきた事業所調査を基に計算されているが、期間によって算出方法が異なっている。またデータは1966年以降のものしかなく、現状2004-2006年の3年間の調査データが最新のものとなっている(『2013年版中小企業白書』361ページ、4表参照)。加えて、75年以降は企業、それも個人企業、会社企業毎の数値も発表されている。当然それぞれの数値は少しずつ異なっている。
とはいえ、事業所、会社企業・個人企業の開業率が1990年以降総じて5%程度であり、しかも廃業率を下回っていることは確かである。その水準は欧米と比較するとかなり低い。
その原因は何か。
先頃日本経済新聞に10回に亘って連載された日本公庫総合研究所のゼミナール「起業社会を目指して」を読むと、幾つかの原因が上手く整理されており興味深い。
それらを要約すると、(1)地方の過疎化や高齢化による事業機会の減少、(2)起業意欲の高い30から40歳人口の減少、(3)企業の被雇用者と自営業者の平均収入の格差拡大、(4)失業率の低さ、(5)人材の流動性の低さによる再就職先確保の困難性、(6)女性の社会進出の遅れに伴う女性起業家の少なさ、(7)副業が認められにくい社会のあり方、(8)リスクマネー、とりわけベンチャーキャピタルの資金量の少なさ、(9)創業後の経営支援の不足、なかんずく新製品を評価し購入してくれる既存大企業や官公庁の少なさ。
日本の失業率の低さは、日本全体から見ると大いに評価すべき点であろう。しかし、創業にとっては障害となる。ただ、日本の失業率の低さを本当に評価していいのであろうか。例えば、大企業のサラリーマンは確かに安定的な生活が約束されてはいると思うが、彼らがやりがいのある仕事に就いているのか、自身の能力を100%発揮できる仕事をやっているのか、というと疑問なしとしない。企業内失業とまでは言えないまでも、人材の流動化が促進されるなら、スピンオフを考える人は多いのではなかろうか。その意味では、人材の流動化は創業促進にとって大きな意味を持つ要素と言ってよかろう。
先ほど紹介したゼミナールには、日本の被雇用者の平均収入と自営業者の平均収入の比は、総務省などの資料を見ると1970年代前半は1を超えていたが、2000年代には0.5に低下したとある。一方、先進国平均ではこの比は1.5、米国では3だという。
俄かには信じ難い数値ではあるが、本当だとするとこれも創業にとっては大きな問題だといえよう。ゼミナールでは、この違いの背景に関して何も触れられていないが、何故日本で近年自営業者の収入が相対的に落ち込んでいるのか、勉強不足の筆者には分からないが、その原因を詳細に分析して見る価値はあろう。
<関連記事>
【コラム】ベンチャーダイナミズム(早稲田大学 名誉教授 松田 修一)
【ベンチャーコミュニティを巡って第42回】経営風土、社会風土をどう変えるか(秦信行)
※「THE INDEPENDENTS」2013年11月号 - p15より