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「第123回事業計画発表会 講評・総括より」

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早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。72年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。73年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。86年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官後、株式会社インディペンデンツ顧問に就任。

アベノミクス成長戦略の中で、ベンチャー開業率10%を目標にしようとしています。現在は4.5%と先進国の中で日本一番低い数字です。しかしその統計データは実態を表しているのでしょうか?ネットビジネスの8割は開業率調査から漏れているのではないかと言われています。高い都市圏に住んでいる人はどうやってこのデフレを耐えているのでしょうか?

自宅でネット事業を行っている個人の所得は源泉税徴収では税務署は把握できません。WEB時代の新しいうねりを誰も正確に補足できていないのが実態です。女性の就業率28%も本当はもっと高いのではないでしょうか?それでは何で保育園がそんなに必要なのでしょうか?今、日経文庫から出版されている「ベンチャー企業」を書き直していますが、ベンチャー調査の問題点についても詳細に触れたいと思います。

ベンチャー投資に対する税制がドラスティックに変わりそうです。高齢化社会を迎える日本を救済する方法は「知」で稼ぐしかありません。その担い手はベンチャー企業です。平成25年10月に公表された「与党税制改正大綱」の中には「民間企業等によるベンチャー投資等の促進」が盛り込まれております。法人のベンチャーキャピタル(VC)への出資8割までが損失準備金と認められる税制恩典が検討されています。日本では個人のエンジェル投資家がなかなか育ちません。オーナー系企業では個人所得は法人所得に比例して動きます。

1980年後半に分離型ワラント社債が優良中小企業の相続対策として一世を風靡しました。社債をVCが引き受け、ワラント(新株予約権)を分離してオーナーに譲渡、結果的に低いコストで株式移動ができました。証券会社は静観していましたが、当時のジャフコはこれを積極的に提案して一気に業績が伸びました。分離型ワラント社債は節税対策商品として相当動きましたが、法人版エンジェル税制によってVC業界へのカネの出し手が大きく変わる可能性があります。

【ベンチャーダイナミズムno.2】事業計画発表会、次なる100回目を目指して
【事業計画発表会】インデペンデンツクラブ・イベントスケジュール

※「THE INDEPENDENTS」2013年11月号 - p6より