留学生管理でシェア5割、顔認証で大学市場に挑む
共創未来株式会社は、日本語学校・専門学校・大学向けの学生管理システムを開発・販売する企業です。自社でも日本語学校2校とIT専門学校を運営しています。2026年5月には、顔認証で出席を記録する「KAOPA EDUCA(カオパ エデュカ)」の提供を始めました。代表取締役の反町長禄氏に、留学から起業、システム開発、上場までの道のりを聞きました。
日本の技術を学ぶために留学、そして帰化
中国の大学を卒業後、2001年に私費留学生として来日しました。留学は親の勧めです。当時の日本は世界第2位の経済大国で、中国でも日本の家電は品質の良さで知られていました。これだけ技術の強い国なら学べることは多い、と考えました。
日本語学校、短期大学を経てITエンジニアになり、保険会社、NTTデータや楽天などの仕事をしました。中国で働いた経験はなく、社会人として過ごしたのは日本だけです。だから日本で成功したかった。来日から9年ほどで帰化したとき、もう中国には戻らないと決めました。中国と比べると、比較的に日本は普通の人の声が届く平等な社会で、中小企業でも頑張れば道が開けると思います。
震災直後、たった一人で会社を立ち上げ
楽天市場ひとつで大きくなった楽天のように、プラットフォームで会社を育てたかった。最初は地方の小さな店の魅力を多言語で伝える観光サイトを構想し、2011年4月の設立を予定していました。ところが3月に東日本大震災が起き、共同創業者2人が中国へ帰国。大手企業に勤める友人にも、10年以上かけて築いた生活を捨てて帰った人がいました。それでも私は残りました。
中国籍の技術者が一斉に帰国し、人手に困った知人から頼まれて2人を派遣するため、3月23日に急いで会社を設立しました。そこから技術者の派遣をスタートし、派遣で稼いだ資金で、もう一度プラットフォームをやるつもりでした。多いときで150名を派遣し、技術者を安定して確保するために、2017年に日本語学校、2019年にIT専門学校を開きました。
学校システムを100万円で受注するも、大幅な赤字に
学校を始めてみると、留学生の管理に使えるシステムがいいものが見当たりません。紹介された日本語学校の校長に構想を話すと、「つくったら100万円で買う」と言われました。外注して3カ月でつくったものは「これでは使えない」。お金をもらって約束した以上、つくるしかありません。派遣中の技術者から優秀な人を呼び戻し、ゼロからつくり直しました。
導入校の声を聞いて改良を続けた結果、数年で開発費は数億円に。外部の資金は入れず、日本語学校と派遣の利益を毎年つぎ込み、損益分岐点を越えたのは3年ほど前です。留学生管理システム「WSDB」は今、日本語学校約200校に入り、当社の集計で学生数の約50%を占めています。これを80%90%以上まで高めていきたいです。

顔認証を組み合わせ、システムを進化
大学向けには、履修登録から成績、出席、教員評価等々、入学から卒業までを一元管理する「miraiシステム」を開発しました。この1年半、営業代行会社を通じて大学など約600校と話し、先生方の不満を聞いてきました。多かったのは「導入後に営業担当者が来ない」「カスタマイズが高い」という声で、聞いた要望は機能に反映しています。

出席管理に困っている学校が多いことも分かりました。1教室20人ほどの日本語学校と違い、大学には100人を超える大教室があります。そこで2026年5月、国内企業の顔認証端末に当社のソフトを組み合わせたKAOPA EDUCAを始めました。マスクをしていても認証でき、代返を防げます。顔認証の技術自体に差はほとんどありません。今年訪れた中国・深圳では、15年前から普及しています。強みは、出席記録を学生管理と結びつけ、成績や在留管理まで一体で扱えることです。

日本語学校から日本の大学へ、教育市場の変革を先導
国内に約800校ある大学や約2,600校の専門学校に対し、当社の導入はまだ一部にとどまり、これからが本格的な拡大期です。大学全体のシステムを刷新すると現場の負担が大きいため、「KAOPA EDUCA」による顔認証の出席管理から始め、段階的に「miraiシステム」への切り替えにつなげます。この仕組みが普及すれば、教職員の業務負担を軽減し、教育や学生と向き合う時間を増やせます。
まずは教育市場の先駆者として業界をリードする存在を目指し、その先には保育・介護・医療への展開を見据えています。例えば介護施設では、認知症の方の安全確保のため、外出しようとした際にドアの開閉を制御するなど、顔認証と管理システムを組み合わせ、人々の命と安全を守る新たな価値を社会に提供していきます。
上場に向け、グループ会社を統合
2025年11月に東和ソリューションエンジニアリングから社名を変え、上場の主体も当初の持株会社から共創未来に切り替えました。2026年9月に不動産事業のグループ会社を合併し、開発子会社の東和テクノロジーとも1〜2年のうちに合併する予定です。まずは1億円の調達を目指し、2027〜2028年の監査を経て、最速2029年に東証スタンダード市場への上場を目指しています。2030年度には売上高47.2億円を計画しています。
interviewed by kips 2026.10.14
【共創未来株式会社】
設 立:2011年3月23日
所 在 地:東京都中央区京橋3-12-1 エコー京橋ビル8,9F
資 本 金:16,000千円
業務内容:教育DXソリューション(WSDB、miraiシステム、KAOPA EDUCA)、学校運営、留学生向け進学・就職・生活支援、システム開発・保守
会社HP:http://www.kyoso-mirai.co.jp
【代表者略歴】

共創未来株式会社 代表取締役
反町 長禄 氏 Sorimachi Chouroku
生年月日:1977月4月14日
中国の大学卒業後、2001年に来日。
ITエンジニアを経て2011年にソフトウェア開発会社を設立。
日本語学校、専門学校、留学生支援、不動産等も運営。
※「THE INDEPENDENTS」2026年11月号 - P.2-3より