スタートアップによる都市発展
<イベントレポート>
2026年9月18日 ひょうごインデペンデンツ
@ 兵庫県立大学新長田ブランチ
兵庫県立大学 新長田ブランチ | 大学・企業・地域が一体となった 新たな挑戦の拠点
+ Zoom ウェビナー配信
(パネリスト)

BIG Impact株式会社
代表取締役CEO 細野 尚孝 氏

インデペンデンツクラブ
代表理事 松本 直人
都市の「老い」に、スタートアップが効く
松本:そもそも「スタートアップによる都市発展」とは、どんなイメージですか。
細野:スタートアップ単体でできることは、実は限られています。ただ、都市はインフラの老朽化が進み、特に地方都市では対応が急がれています。答えは省人化、無人化、そして集約。課題からゼロベースで解決策をつくるプレイヤーが求められるので、スタートアップと相性がいいんです。
松本:国内でも、そうした流れはありますか。
細野:政策もその方向に向かっています。重点分野にスタートアップを入れ、予算をつける動きです。どの地方都市から始めるかを考えたとき、神戸は良いポジションにいると思っています。
「一番使われる街」を神戸に
松本:具体的には、どんなスタートアップが都市を変えるのでしょう。
細野:ひょうご神戸スタートアップ1号ファンドの投資先で上場したLiberawareは、ドローンで下水道を点検しています。神戸出身でセーフィーを率いる佐渡島隆平さんは、カメラと24時間体制のセンターで盗難を遠隔で抑止する警備事業を始めました。まずは、こうした省人化・無人化につながるサービスを発掘し、「一番使われている街が兵庫・神戸」という状態をつくりたい。将来は自動運転や港湾DXにも広げていけると思っています。

東アジアを、神戸の成長につなぐ
松本:今回、韓国に行かれていたのも、その構想につながっているわけですね。
細野:今年始動した2号ファンドは、関西と韓国・台湾を結ぶのが特徴でもあります。ソウル市、台北市とは連携済みです。海外へ出向いて投資するのではなく、海外で実績のあるスタートアップに日本へ来てもらい、関西の大企業や自治体につなぎます。
松本:海外の企業が、あえて神戸に拠点を置く理由は何でしょう。
細野:彼らは日本に売り込みたいんです。必要なのは、日本市場への販路やパートナーです。兵庫県や神戸市、その先にいる企業とつながることができれば、神戸を拠点にする理由が生まれる。人が集まり始めると、さらに人が集まる。その循環を10年かけてつくっていきたいですね。

都市発展を生む循環へ
松本:その循環をつくるうえで、VCやファンドはどんな役割を担うのでしょうか。
細野:1号ファンドは19社に投資して上場企業も出し、現状は収支もプラスです。その実績を土台に、2号では「地域×スタートアップ×海外」を進めています。ただ、VCには人もアセットもソリューションもありません。自治体、企業、金融機関など多くのパートナーと組み、スタートアップが都市課題を解き、その実績が次の企業や人を呼び込む。そうやって地域経済全体を底上げしていきたいと思っています。
都市の課題をスタートアップの実装機会に変え、その成果が新たな企業と人を呼び込む。神戸を起点に、都市発展の循環をつくる構想が動き始めています。

※「THE INDEPENDENTS」2026年11月号 P.4 より
※ イベント開催時点での情報です