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「ソーシャルゲームの成長戦略」

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株式会社ポケラボ
代表取締役 佐々木 俊介さん

1983年 神奈川県生まれ
大学(情報系)卒業後、大手ネットワーク企業にて次世代ネットワークの開発に従事。
2008年4月当社参画。

住所:東京都千代田区岩本町3-11-6 PMO秋葉原3階
設立:2007年11月 資本金:5億2,050万円
http://pokelabo.co.jp/

2012.10.25 全文公開しました(インタビュー 2010.12.10)

―ベンチャーキャピタル(VC)が当社を設立しました
本間:私は創業投資を専門としたVCです。ポケラボの場合はモバイル・インターネットメディアが成長すると考え、まず会社という器を2007年秋に作り、社長とCTOはそれから探しました。最初は後藤さんを社長として選び、次にCTOを20名ほど面談した中から佐々木さんに決めました。

―佐々木さんはなぜ参加されたのですか?
佐々木:NTTコムウエアに入社2年目でしたが、ずっと起業したいとは思っていました。NTTは社会から必要とされる良い会社ですが、自分自身がその中で貢献している実感がありませんでした。後藤とはmixiの起業家コミュニテイで知り合いになりました。本間さんからお誘いを受けたときは、起業にあたりここまで条件が揃う事はないな、と思いました。実際にはとても悩みましたが、24歳でこれだけ悩むのであれば年月を経るほど踏み切れないだろう、と起業を決断しました。

―条件が揃うとはどういう事ですか?
佐々木:資金とサポート体制、そして立ち上げる事業内容も決まっていました。本間さんと和田さん(セレネベンチャーパートナーズ)はベンチャー支援実績も豊富で、米国や業界動向に詳しいVCチームです。ネットワークも広く様々な方を紹介いただきました。
本間:二人にマネジメント経験を積ませたいと考えていました。現場で覚えるのが一番です。週1回、4人で集まり事業の進捗確認をしていました。

―実際、最初に用意された事業はうまく行きましたか?
佐々木:開発は予定通り3ヶ月で完成しました。ケータイ上でのブックマークや、写メールを使ったサービスです。しかしリリースはできましたが収益化にはほど遠い状況で、いつまで給料が出るかとても不安な毎日でした。資金が底をつかないうちに新しい収益事業を立ち上げようと、自分たちで3つの事業を考えました。まずはCGM(口コミサイト)、でも後発では無理。次にEC、これはコストがすごくかかる。最後にゲーム。自分たちの好きなもの・やりたいことを最優先に考えた結果でした。

―そしてケータイブラウザゲームを開発しました
佐々木:「サムライキングダム」は戦国時代のバトルゲームです。マニア向けPC丈夫なようになってほしい、と私は思っています。今年8月にVC出身の前田氏をCFOとして迎えました。1年後の彼らの成長が楽しみです。
前田:私はVC会社で数多くの企業を見てきて、国内モバイルソーシャルアプリの覇者が海外で覇権を取る事ができる最有力候補と考えております。小・中学生の頃から身近に携帯電話があるような若い社員らの価値観・目線は大きな武器です。「日本から世界へ」戦える企業を若い価値観で作っていく過程と夢を楽しんでいます。

―世界最大のSNSであるFacebookや、スマートフォンへの対応はどのように考えていますか?
佐々木:Facebookはスマートフォンへの対応やオープン化がまだ不透明です。デバイス、プラットフォームの動向を見ながら、大きな流れにずれない道を進んで行きます。来年春にはスマートフォン向けに2本リリースする予定です。はたしてどのプラットフォームが有力なのか分からない状況で明確な戦略を立てるには早すぎます。一番身近な携帯電話を介し、世界中でポケラボのサービスを楽しんでもらうために、デバイス、プラットフォームの選択、サービスカテゴリの選択は慎重に行っています。当面は自分たちの強みを生かしたゲーム事業での戦いをしていきます。

―10年後のポケラボはどうなっているでしょうか?
佐々木:世界で大きく成功する会社にしたい。戦後を代表する企業になりたい。自分たちは既存のプラットフォームに縛られない分、フットワークが軽いのが強みです。もちろん課題や脅威に感じる点はたくさんあります。競争は激化する一方、ガラケー(国内独自携帯)は減少していきます。スマートフォンへの対応も一歩間違えたら手遅れになります。

―尊敬する経営者を教えてください
佐々木:DeNAの南場社長です。みんなを同じ目線に持っていく力は素晴らしいと思います。利益を追求するだけの経営はしたくありません。より多くの人に自分たちが作ったものを、全社員一緒になって届けていく事が事業の目的です。皆さんが必要としている限り私はこの会社にいます。

―佐々木さんの原点はどこにあるのでしょうか?
佐々木:私は神奈川の田舎の出身です。高校も大学も有名校ではありません。起業の原点は、褒められたいという、普通の人と変わらない気持ちからです。みんなには「方向性が正しい事に対して一生懸命に素直に取り組めば必ず成功する。自分でもできたのだから」と言っています。

―本日はありがとうございました。最後に好きな本を教えてください
佐々木:歴史ものはよく読みます。ドラッカーなどの経営書も。コミックでは「蒼天航路」(三国志正史を題材)にとても感銘を受けました。戦に破れて落ち込んでいる劉備に対して「最初に天下を目指すと言ったのはあなたです。今ではそれを自分の夢だと思っている人がたくさんいます。だからあなたは戦い続けなくてはならない。それはもはやあなただけの夢ではない。あなたは死ぬまでその夢を追い求めなくてはいけないのです」というようなセリフです。私の経営者像はそこにあります。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2011年1月号 - p6-8にてご覧いただけます