記事のアイキャッチ画像
鮫島正洋の知財インタビュー

「言えない孤独」をデータに変える ─ おひとり様に寄り添うAIコンパニオンの知財戦略ジネスを支える知財戦略

SAMURAI Security株式会社
濱川 智 代表取締役CEO

SAMURAI Security株式会社 代表取締役CEO 濱川 智 氏
 × 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏

 

「どこから始めればいいのか、わからない」

鮫島:まず、御社が向き合っておられる課題からうかがえますか。

濱川:単身世帯は増え続け、2036年には全世帯の四割を超えるといわれています。けれど、数字以上に深刻なのは、その一人ひとりが抱える実感のほうです。終活、相続、介護、見守り。一つの不安に答えを出しても、すぐ次の不安が湧き上がる。この「不安の連鎖」に、多くの方が立ちすくんでいます。ご相談の場でいちばん多い言葉は、制度の名前ではなく「わからない」「どこから始めればいいのか」なのです。情報が足りないのではありません。人生の後半をどう歩むのか、その全体像が見えないのです。しかも孤独は「寂しい」とは語られず、「保証人はどうすれば」といった手続きの言葉に姿を変えて表れます。心の不調を感じても、七割を超える方が医療にかからない。「私の人生、これでよかったのか」──その問いに、誰も寄り添えていないのが実情です。

「答え」ではなく「心の置き場所」を

鮫島:その切実な思いに、御社のAIが応えているのですね。

濱川:私たちが運営するAIコンパニオン「まねたま」は、答えを返すためのAIではありません。人に言えない不安や生きづらさを、そのまま受け止める「心理的充足」の場です。毎月およそ3,000件、200時間分のご相談が寄せられ、よく使ってくださる「ヘビー層」の方は、月に20回、のべ212分も語りかけてくださいます。すでに、人生の伴走者と呼べる存在になりつつあります。無料で始められるフリーミアムながら、課金率は8.6%と、この分野では高い水準です。

事業の本質は、AIではなくデータにある

鮫島:対談を通じて感じるのは、御社の本質は「AIそのもの」ではないのでは、ということです。

濱川:まさにその通りです。AIコンパニオンは、あくまで入り口にすぎません。本当の価値は、ほかでは決して集まらない「人に言えない本音」が、日々データとして積み上がっていくことにあります。そして、それを統計処理と匿名化を施したうえで、製薬会社や自治体、企業へ分析として提供する。ここが事業の本丸です。たとえば製薬会社は会話から認知症の予兆をつかもうとし、自治体には終活窓口の設計図を五分ほどでお示しできます。機微な情報は決して外に出さず、2024年には非営利の社団法人を設けて中立性を担保しました。だからこそ、行政との随意契約が結べるのです。

特許では守れない。しかし、乗り換えられない

鮫島:知財の専門家として率直に申し上げます。この事業を、特許で競合から守り切るのは容易ではありません。

濱川:その点は、私たちも理解しております。

鮫島:ただ、それで構わないのです。特許で締め出せなくても、御社にはまったく別の強さがある。何か月も対話を重ね、その人だけの関係と記憶が宿ったAIから、利用者は簡単には離れられません。企業向けも同じで、唯一無二のデータと行政との協定は、他社が一朝一夕に置き換えられるものではない。つまり、真似を防ぐのではなく、乗り換えられない。これこそが本当の堀です。

濱川:データは、私たちにしか持ち得ないものですから。

特許は「数件」あればいい

鮫島:そのうえで、特許はいかがですか。

濱川:紙の手帳とAIを組み合わせる「フィジタル」で出願中です。紙と組むと、利用率が2.8倍に上がります。

鮫島:使い勝手を高める工夫と、創薬などの新しいビジネスモデル。その二点に数件持てば、競合を牽制でき、投資家にも響きます。守りの本体はあくまでデータの管理と契約であり、特許はそれを補強する印だとお考えください。

濱川:孤独・孤立対策の予算がつき、行政は民間と組むほかありません。この日本で成功のかたちを築き、2040年に四億人となるアジアへ、私たちのモデルを届けてまいります。

 

―「THE INDEPENDENTS」2026年9月号 P.10より

※冊子掲載時点での情報です


SAMURAI Security 代表取締役CEO 濱川 智 氏

<話し手>

SAMURAI Security株式会社 代表取締役CEO 濱川 智 氏
(→ イベント登壇情報

生年月日:1972年5月11日
出身高校:都立保谷高校

顧客インサイト/Web-UXの専門家として著書多数。
2000年よりクリエイティブディレクターとしてWebサイト制作・Webビジネス改善に従事。2008年独立し、ニッセンHD、日本マイクロソフト、NEC、髙島屋、アットホーム等大手企業のWebビジネスコンサルティング・新規事業立ち上げを支援。2018年当社創業、CEO就任。

父親の急逝に伴う相続手続の原体験から「サラス」を立ち上げ。

弁護士法人内田・鮫島法律事務所 代表弁護士 鮫島 正洋 氏

 

 <聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

 

企業情報

関東地方

SAMURAI Security株式会社

相続DXソリューションの企画開発運営

記事・登壇情報も掲載中
企業ロゴ
お気軽にお問合せください
毎週水曜配信のイベント・新着情報をお届けします。
事業計画やプレゼンのご相談を承ります。
投資や広告掲載、その他のご相談をお問合せください。
インデペンデンツクラブ
入会案内
寄付案内