MRI×AIで、パーキンソン病の早期診断を支える
脳神経内科医が挑む診断の壁
株式会社MEDICOLABは、脳MRI画像からAIでダットスキャンの定量指標を推定し、パーキンソン病(PD)やレビー小体型認知症(DLB)の診断を支援するプログラム医療機器(SaMD)を開発しています。代表の井汲一尋氏は、名古屋大学医学部附属病院などで神経変性疾患の診療に携わってきた脳神経内科専門医です。国内のPD・DLB患者は100万人を超えますが、標準検査のダットスキャンは被曝や長い検査時間、設備制約に加え、医療機関に1件約4.9万円の赤字が生じることが課題です。
既存MRIを生かし、検査負担を軽減
同社のSaMDは、通常のMRI検査後にダットスキャンの実施要否や追加検査方針の判断を支援します。初期段階では完全代替ではなく、正常・境界・異常の層別化支援から導入する計画です。薬剤投与や追加被曝を伴わず、解析は5~10分。病院側には1件当たり約5.5万円の損益改善を見込みます。収益モデルは初期導入料50万円と1検査1.2万~2万円の従量課金です。国内の脳MRIは年間約400万件と、ダットスキャンの約7.5万件を大きく上回り、診断から治療経過の継続評価まで市場拡大を目指します。
データ・知財・資金をそろえ実装へ
順天堂大学から取得予定の700例超と既存315例を合わせ、MRIとダットスキャンのペアデータは1,000例超となる見込みです。服部信孝特任教授の監修、九州大学との連携、コア特許2件も競争力の基盤です。2026年6月までにAMEDなどから2.21.6億円超の非希薄化資金を確保し、現在はシードラウンドでリード投資家を募集しています。2027年の有償PoC開始、承認・保険収載後の全国展開を経て、MRIメーカーや医療機器・製薬企業との提携、M&Aを主要な出口戦略に据えています。

コメンテーターより

㈱AGSコンサルティング 顧問
小原 靖明 氏
貴社は既存の脳MRI画像を解析し、パーキンソン病や認知症などの神経疾患を早期発見する診断支援AIプログラムを開発する「脳神経内科専門医」が「経営」を始めたスタートアップと説明できると思います。
特に次の3点でこれまでの医療系ベンチャーと違う「発想」が特徴的であり、新しいロールモデルとなると思われ、大きな期待が持てます。
①補助金・助成金の活用の最大化により資本希薄化最小化の発想
② PMDA承認前からPOC有償化による事業化。
③ M&AをメインとしたEXITシナリオ
※「The INDEPENDENTS」2026年9月号 - P.7 掲載
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