■ 獣医師から経営者へ、業界の課題に挑む
PAWS有限会社を率いる三好紀彰氏は、獣医師として約10年間、動物医療の現場に携わった後、16年前に地元・愛媛へ戻り開業しました。しかし、現場で感じたのは、「獣医師は医療を学ぶ一方で、経営を学ぶ機会が少ない」という業界の課題でした。そこで自ら経営を体系的に学び、MBA(経営学修士)の知見も取り入れながら、持続可能なペットサービスの構築に挑戦しています。現在は、動物病院やトリミングサロンなどを運営するPAWS有限会社と、全国の動物病院向けに教育や経営支援を行うVSJ合同会社を経営しています。
■「医・食・住」をつなぐストック型モデル
PAWSは、動物病院だけでなく、トリミングサロン、ペット同伴カフェ、EC事業を展開し、今後はペットホテルも計画しています。今年1月には動物病院のM&Aも実施し、現在は2院体制となりました。同社の特徴は、病院、美容、日常ケアなどを「医・食・住」という考え方で一体的に提供することです。病気になった時だけではなく、健康な時からペットの一生に寄り添うサービスを目指しています。収益面では、すでにトリミングを中心としたサブスクサービスを開始しており、契約数は66件、年次継続率73%、年間売上は約1,530万円まで成長しています。単発利用が中心だった業界において、安定したストック収益を積み上げるモデルとして機能し始めており、今後は予防医療や物販なども組み合わせ、顧客生涯価値(LTV)の向上を図る考えです。
■ 愛媛からペット産業のプラットフォームへ
PAWSは、地域でサービスを実証する現場事業会社です。一方、VSJは獣医師向けオンライン教育、動物病院経営支援、電子カルテなどのDX支援を通じて、全国の動物病院ネットワークを構築しています。愛媛で成功モデルを確立した後、PAWSで磨いたサービスモデルをVSJのネットワークへ展開し、FCや提携を通じて全国へ広げる構想です。さらに、飼い主向けコミュニティアプリ「PAWS BUDDIES」の開発やAI活用も進めており、診療予約や健康管理などデジタルサービスの充実にも取り組んでいます。日本では犬の飼育頭数は減少傾向にある一方、一頭当たりの支出額は増加し、ペットを家族として考える意識が定着しています。高齢ペットや高齢飼い主への対応など、新たな社会課題も広がっています。こうした変化を追い風に、「自分の子(ペット)を預けられる業界」を目指し、30拠点、各1,000頭の会員獲得による100億円構想を掲げる愛媛発スタートアップとして期待されています。
コメンテーターより![]() |
PAWSは、動物病院、サロン、カフェ等を一体的に展開し、ペットと飼い主の「医・食・住」を包括的に支える点に事業性の新しさがある。単なる店舗展開にとどまらず、体験価値を伴うサービスモデルとして発展可能性も認められる。今後、フランチャイズを含めて拠点展開を進めるに当たっては、加盟店管理・品質維持を可能にする仕組みを整備し、ブランド、ノウハウ、サービス設計等のIPを適切に保護することが重要である。 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 藤田 達郎 氏 |
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