<イベントレポート>
2026年2月13日 京都インデペンデンツ
@ 京都リサーチパーク
+ Zoom ウェビナー配信
■ イベント詳細 https://www.independents.jp/event/787
<特別セッション>
今回の京都セッションでは、京都銀行系の京都キャピタルパートナーズ(KCAP)と、同社が出資する2社による対談が行われました。
KCAPは2023年設立のベンチャーキャピタルで、現在は約145億円規模のファンドを運用し、すでに90社以上へ投資を実行しています。銀行出身者に加え、証券系VC経験者、バイオ分野の専門人材、コンサル出身者など多様なバックグラウンドのメンバーで構成され、スタートアップに伴走するスタイルを特徴としています。単なる資金提供にとどまらず、事業開発や人材面の支援まで踏み込む「共に育てる投資」を掲げている点が印象的でした。
では、KCAPはどこに魅力を感じて投資を決めたのでしょうか。インデペンデンツクラブ 代表理事 松本氏のリードで対話が始まりました。
■ 投資先① 株式会社LEP(エルイーピー)
<「明かりの革命」になるかもしれない>
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株式会社LEP 担当 京都キャピタルパートナーズ㈱ディレクター 村田 義樹 氏 |
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株式会社LEP |
代表取締役CEO高元 丈治 氏 |
松本:まずLEP社について伺います。技術として非常にユニークですが、KCAPとしてはどの点が決め手になったのでしょうか。
村田:最初はやはり“光る植物”というインパクトに目が行きます。ただ、投資判断のポイントはそこではありませんでした。高元さんが参加された後、これを照明インフラにするという構想を聞き、納得感が生まれたのです。
㈱LEPは、遺伝子導入によって自ら発光する植物を開発するディープテック企業です。生物発光タンパク質と植物工学を組み合わせ、電力を使わず光る植物を実現しています。世界のエネルギー消費の約15%は照明に使われており、その置き換えができれば環境負荷は大きく変わる可能性があります。
松本:技術が面白いというだけでは投資には至りませんよね。
村田:そうですね。重要だったのは“事業化の順番”でした。いきなり街灯を置き換えるのではなく、まずは空間演出や展示のエンターテインメントから始める。その後、花卉、そしてエネルギーへと段階的に広げていく計画が明確でした。
同社は、規制の影響が少ない植物細胞(カルス)を使った展示・体験事業から始め、将来的に街路樹が照明の役割を担う社会を目指しています。
松本:技術より“社会への入り方”を評価したということですね。
村田:はい。火から電気へと変わった照明の歴史の次に“植物”が来るかもしれない。突飛に聞こえるかもしれませんが、エネルギー問題への一つの答えになり得ると感じました。
高元:生活の中に、癒しと機能を同時に持つ光を届けたいと考えています。環境問題の解決と、文化的な価値を両立させたいのです。

投資先② Almaprism株式会社
<ゲームが測定機器になる>
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Almaprism株式会社 担当 京都キャピタルパートナーズ㈱プリンシパル 栁 学理 氏 |
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Almaprism株式会社 |
CEO糟野 新一 氏 |
続いて紹介されたのは、メドテック企業Almaprismです。ビデオゲームを使って人の認知特性を測定するという、これも一見すると異色のスタートアップです。
松本:ゲームと医療という組み合わせを、KCAPはどのように評価されたのでしょうか。
栁:ポイントは“主観をデータに変える”ところでした。医療や教育の現場では、認知特性が経験則で判断されてしまう場面が多くあります。それを客観化できる技術は社会的意義が大きいと考えました。
同社の技術は、約30分ゲームをプレイするだけで行動データを解析し、認知機能からなる「考え方の特性」を測定するものです。行動データをバイオマーカーとして利用する仕組みです。
松本:つまり、ゲームが「測定機器」になるということですか。
糟野:はい。子どもにとって既存の認知機能検査は負担になりがちですが、ゲームなら自然に能力が表れます。取得したデータは本人やご家族だけでなく、学校や企業と共有することで、個々に合った教育や就労支援に活用できます。
同社は、ADHD診断支援の医療機器と教育・企業向けアプリの二本立てで事業を進めています。
松本:投資としての魅力はどこにあったのでしょうか。
栁:医療だけで終わらない点です。教育、就労、さらに生活の意思決定にも広がる可能性があります。社会の基盤になり得る技術だと感じました。
■ KCAPの投資の特長
セッションから見えてきたのは、KCAPが重視しているのは単なる技術の新規性や短期的な成長率ではないという点でした。両社に共通するのは、製品のヒットではなく「社会の仕組み」を変え得るテーマであることです。
松本:お話を聞くと、KCAPは分かりやすい市場規模よりも、長期的な変化を見ている印象があります。
村田:そうですね。すぐに大きな売上が立つかよりも、“10年後に社会基盤の基礎となるかどうか”を考えています。
栁:技術そのものだけでなく、事業の広がり方やチームの意思も重視しています。だからこそ、出資後の関わり方も自然と深くなります。
実際、KCAPは投資後の事業開発支援やネットワーク紹介などに継続的に関わる伴走型の姿勢を取っています。金融機関の延長というより、専門性を持つ投資チームがスタートアップの成長に入り込むスタイルが特徴といえます。

※「THE INDEPENDENTS」2026年3月号 P.6-7 より
※ イベント開催時点での情報です

代表取締役CEO
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