株式会社Kips 代表取締役 國本行彦   【國本 行彦】 
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現副代表理事)
2020年6月 (株)ラクス社外取締役就任

追悼の言葉 ~北海道の志を支え続けた佐藤良雄さんを偲んで~

キャリアバンク株式会社 代表取締役社長 佐藤 良雄 氏

 キャリアバンク株式会社代表取締役社長であり、札幌証券取引所アンビシャスクラブの初代会長として北海道経済の発展に尽力された佐藤良雄さんがご逝去されました。ご生前のご厚誼に深く感謝申し上げ、心よりご冥福をお祈りいたします。

 佐藤さんは1953年札幌市にお生まれになり、行政書士として独立されたのち、1987年に北海道初の人材紹介会社「キャリアバンク株式会社」を設立されました。2001年、札幌証券取引所アンビシャス市場の第1号上場企業として地域経済に新たな光を灯され、さらに2006年にはグループ会社「株式会社エコミック」を同市場へ上場させるという、道内企業として極めて稀有な“二度のIPO”を実現されました。地方発企業が資本市場を通じて成長を遂げる姿を自ら体現された経営者であり、その功績は札証の歴史にも深く刻まれています。

 2016年から毎年、札幌証券取引所で開催する「北海道インデペンデンツクラブ」では、佐藤さんは毎回の会合に必ずお越しくださり、若手起業家や上場を志す経営者に、温かくも核心を突く助言をなさっていました。地方企業の可能性を信じ、地元での挑戦を後押しするその姿勢に、私はいつも深い感銘を受けておりました。佐藤さんの言葉には、実体験に裏打ちされた説得力と、地域経済への情熱がありました。

 2000年に創設された札証アンビシャス市場は、これまで22社が上場し、そのうち4社が本則市場へとステップアップしています。この発展の陰には、佐藤さんをはじめとする先達の努力がありました。かつて北海道からは多くの上場企業が誕生しました。調剤薬局最大手・アインホールディングス(旧・第一臨床検査センター)の大谷喜一氏をはじめ、経営者同士が互いをライバルとして認め、切磋琢磨しながら成長していった時代がありました。佐藤さんはその「志の世代」の中心に立ち、経営者の輪を結びつける架け橋として活動されていました。

 札証アンビシャスクラブ会長として、佐藤さんは「地元北海道を元気にしたい」との強い信念のもと、IPO支援や投資家との対話促進に力を注がれました。自らの経験を惜しみなく共有し、若手経営者が資本市場を通じて成長できるよう導かれたその姿勢は、まさに「志の経営」の実践でした。

 佐藤良雄さんは、北海道の未来を信じ、地方から挑戦し続けた経営者でした。私たちは、その志と情熱を胸に、これからも北海道の個性溢れる起業家を発掘し、支援していきます。
 佐藤さん、本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

※「THE INDEPENDENTS」2025年11月号 - P.13 より