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【國本 行彦】 1960年8月21日生。 東京都立志村高校卒業。 1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。 2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。 2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現副代表理事) 2020年6月 (株)ラクス社外取締役就任 |
起業家と投資家が語るEXITの現実
2025年8月1日~2日、第5回「Kips北海道キャンプ」が、石狩郡新篠津村の温泉宿「たっぷの湯」で開催されました。
今回の参加者は、Kipsの出資先および出資予定先の起業家に加え、協賛の内田鮫島法律事務所のメンバー、さらにM&AとIPOの両方を経験したシリアルアントレプレナー谷井等氏。全国から個性豊かな起業家12名が集まり、経営課題やM&A体験談が共有されました。
参加メンバーによる事業プレゼンテーション
調査によれば、VCポートフォリオ全体ではM&A比率が35~45%に増加し、リビングデッド企業の割合は減少。一方でIPO比率は10~20%に低下し、投資後7~10年のEXIT構成比はIPO中心からM&A中心へとシフトすると予測されています。確かにM&Aによる回収額の約7割は元本割れとの見方もありますが、すでにM&Aによる株式回収額がIPOの2倍に達しているVCファンドも存在します。なお、回収倍率で比較すると、IPOでは10倍を超えることも珍しくありませんが、M&Aでは2~5倍が一般的です。
現在はIPOを基本シナリオとしつつも、資金調達環境や上場時期の影響によりM&Aを選択するケースが増えています。IPOはVC・起業家双方にとって大きなリターンが見込める魅力的な選択肢ですが、ファンドの満期を意識するVCは常にEXITの機会を模索しています。また、M&Aは起業家にとってゴールではなく、株式売却後も経営者として事業に関わり続けるケースが多いのが現状です。VCにとっては回収金額がすべてですが、起業家にとっては経営者としての評価や事業の持続性こそが重要となります。
たっぷの湯にて
※「THE INDEPENDENTS」2025年9月号 - P.19 より