センシング技術で実現する、安心・安全な未来社会

株式会社Soilook
代表取締役 西藤 翼 氏

 

■ 革新的なセンシング技術による社会課題の解決

 当社は、「センシングで視覚の限界を超えた世界を見る」という理念のもと、光学ガスイメージング(OGI)技術を用いたガス可視化システム『GASGRA』、およびハイパースペクトルカメラ(HSI)による成分分析技術の開発に取り組んでいます。
 中でも「GASGRA」は、国内で年間500件以上発生する高圧ガス噴出・漏洩事故という重大な社会課題に対し、革新的な解決手段を提供します。従来の人手による検査に代わり、遠隔監視による安全かつ効率的な保安検査を可能とし、作業員の安全確保と検査業務の高度化を実現します。
ガス可視化システム『GASGRA』

■ 国際特許技術を活用した独自のビジネスモデル

 光学設計に関する国際特許技術と知財資産を核に、メーカーとの協業を通じた柔軟なビジネスモデルを展開しています。カメラモジュール、防爆化カメラの提供から、システム一式の販売、レンタル、メンテナンスサービスに至るまで、多層的な収益モデルを確立。
 2026年末までに非認定耐圧防爆筐体の開発と生産体制の整備を完了し、2027年には耐圧防爆装置の認定取得を目指します。さらに、2028年までに可搬型装置の開発と市場投入を計画しており、継続的な技術進化と製品ラインアップの拡充を図っています。
Soilookのビジネスモデル

■ 次世代エネルギー社会を見据えた成長戦略

 国際海事機関(IMO)が掲げる2050年CO2排出実質ゼロの目標により、アンモニア燃料を使用する次世代船舶のニーズが急拡大しています。Soilookはこのトレンドを捉え、2030年までに船舶業界での認証取得と製品導入を目指します。2050年には約45,900隻への導入を見据えています。
 また、2025年4月より香川県・高松市の企業誘致支援制度を活用し、「ソイルック可視化技術研究所」の設立を進めています。将来的なIPOを視野に入れた技術開発と事業拡大に注力し、脱炭素社会を支えるインフラの安全・安心に貢献してまいります。

 

 

 
コメンテーターより
弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 多良 翔理 氏
 

 Soilook社のGASGRAは、視覚の限界を超えてガス漏洩を可視化するという、非常に実効性の高い技術です。AIと光学技術を融合させたこのシステムは、安全管理の現場における課題解決を根本から支えうるものであり、防爆対応も含めた設計力の高さが際立っています。さらに、共同開発やレンタル提供といった柔軟な事業構造により、製品普及のスピード感にも優れている点が印象的です。今後は特許とノウハウのバランスある管理、ブランド保護のための法的整備を通じて、インフラの安心・安全に不可欠な存在として成長されることを期待しております。

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 多良 翔理 氏



※「The INDEPENDENTS」2025年7月号 - P.11 掲載