行政に根ざしたDXで、持続可能な未来を支える

株式会社WiseVine(ワイズバイン)
代表取締役社長 吉本 翔生 氏

 

■ 予算編成のDXで、行政サービスの質を守る

 WiseVineは、自治体向けに予算編成・経営管理SaaS「Build & Scrap(BnS)」を開発・提供しています。人口減少と歳入減少が進む中、行政サービスの選択と集中を可能にするために、政策立案から執行、評価までをデジタルで一気通貫に支援しています。
WiseVineの開発する行政の予算編成・管理会計システムについて

■ 現場の課題に即したプロダクト設計

 従来の行政業務は紙やエクセル、口頭でのやりとりが中心で、部門間の情報が分断されていました。WiseVineはこの課題に対し、GitHub型の履歴管理ワークフロー、事業IDによるデータ統合、KPIツリーによる政策連動などの機能で、業務の透明性と効率性を大幅に向上させます。

■ 他社に真似できない、財政領域に特化したアプローチ

 多くのベンダーが敬遠する行政財政の領域に、WiseVineは深く踏み込んでいます。全国350以上の自治体ネットワーク「財ラボ」と連携し、元自治体職員を中心としたチームが実務知見をプロダクトに反映。他社には再現不可能な専門性と現場密着型の開発体制が強みです。

■ 知財と構造設計による強固な競争優位性

 WiseVineは、主要機能に関して12件の特許を取得しており、模倣困難なプロダクト構造を持っています。さらに、すべての行政事業をIDで統合管理するデータ基盤により、人事・調達・政策評価といった周辺領域への拡張も可能な「行政OS」としての成長性も備えています。

■ 実績と展望:国内外での広がり

 愛媛県・沖縄県・横浜市・内閣官房などで導入され、たとえば愛媛県では年間6億円規模の業務削減効果を実現。国内市場(GovTech 1.2兆円)に加え、インドネシア内務省とのPoCを通じて、グローバル展開も視野に入れた成長戦略を描いています。WiseVineのソリューション

■ 社会インフラとしてのSaaSを目指して

 WiseVineは、行政の運営基盤そのものを支える“社会インフラ型SaaS”として、自治体と市民の間にある意思決定の基盤を変革し、次世代に持続可能な行政サービスを残すことを目指しています。

 

 

 
コメンテーターより
(株)AGSコンサルティング 執行役員/関西エリア統括部長 渡邉 高広 氏
 

 当社は自治体行政のDX推進の委託を受けるというユニークな事業が特徴です。
2025年2月、一般社団法人新しい自治体財政を考える研究会と『自治体財政DX推進に関する連携協定』を締結。財政に関する専門的知見と、当社の先進的なIT技術を融合し、自治体の予算編成プロセスの効率化と高度化を図ることを目指しております。
 自治体行政のDX化は、住民の生活を便利で快適化するだけでなく、行政運営の効率化、地域の持続可能な発展にも寄与します。
 ただし、技術導入だけでなく、住民や職員の理解・協力を得ることが成功の鍵となります。

(株)AGSコンサルティング 執行役員/関西エリア統括部長 渡邉 高広 氏



※「The INDEPENDENTS」2025年7月号 - P.9 掲載