徳島大学発・ライセンスフリーのゲノム編集技術で育種と醸造の実装を推進
株式会社セツロテック
代表取締役社長 竹澤 慎一郎 氏
株式会社セツロテックは、2017年に徳島大学発のバイオスタートアップとして設立されました。CTO・竹本龍也が開発した「受精卵エレクトロポレーション法」を基盤に、誰でも扱いやすく、産業応用に適したゲノム編集技術の開発・事業化を進めています。
当社独自の高効率編集手法「GEEP法」「VIKING法」に加え、Cas9ライセンスが不要な編集因子「ST9.5/STX」を活用することで、コスト・知財リスクの少ない技術導入を可能にしています。
現在、以下の3分野で実装・事業化を進行中です。
■ 雌雄判別鶏卵技術
採卵鶏の雄雛殺処分問題に対応し、2024年に特許を取得。孵卵段階での性別判別が可能となり、雄卵はワクチン原料や飼料として再活用可能に。
欧州の殺処分禁止法制化にも対応できる技術として、機器メーカーとの共同で判別装置の開発も進めています。
■ 高付加価値繊維カシミヤヤギ
モンゴルの放牧民支援と環境課題の解決を目的に、ベビーカシミヤを超える高付加価値繊維を持つGEヤギを開発。
1頭あたりの経済価値を従来の4~5倍に引き上げることが可能となります。トレーサビリティやフェアトレード体制の構築も推進中です。
■ 地域酵母を活かした醸造と微生物応用
徳島・眉山由来の天然酵母を活用し、クラフトビール「アザレアエール」を試作。今後は、地ビール醸造所向けに天然酵母のスクリーニング・提供サービスを展開予定です。ゲノム編集ビールも実用化間近。
また、微生物による食品・物質生産にも応用を広げています。
■ 今後の重点開発領域
・豚のゲノム編集:疾病耐性や産肉性の改良(SBIR採択済)
・酵母応用:酒類・食品・工業素材への展開
・非食品素材:微生物による農業資材・バイオ燃料等の生産
大学発の知見を、育種・醸造の現場で「使える技術」に変換することを使命とし、セツロテックは今後も社会実装を加速していきます。
コメンテーターより![]() |
当社は遺伝子改変技術を活用した研究や製品開発を行う日本のバイオテクノロジー企業です。 (株)AGSコンサルティング 執行役員/関西エリア統括部長 渡邉 高広 氏 |
※「The INDEPENDENTS」2025年7月号 - P.7 掲載