<起業家インタビュー>

祝・第24回JapanVentureAwards経済産業大臣賞受賞

 私は2010年にGLM社を立ち上げ、EVスポーツカー「トミーカイラZZ」の開発・量産を実現しました。設立当時はEVの商用化はまだ進んでおらず、公道を走れる車を開発すること自体が大きな挑戦でしたが、2014年には世界的にも厳しい日本認証を取得できました。その時のEV開発の経験をベースとして、より安価で大量に販売できる商用EV車を開発するために2021年にフォロフライ社を設立しました。このような連続起業の経験を評価いただきました。

第24回JapanVentureAwards

GLM社は香港市場へSPAC上場

  2016年の「スマホゲームバブル崩壊」で日本の上場市場は不透明となり高い時価総額でのIPOが難しくなりました。一方で中国の自動車メーカーはSPAC上場を利用した大型資金調達によって急成長していました。私も競争戦略の観点から香港企業との株式交換を用いたSPAC上場を選択し、時価総額は1500億円を超えました。しかしその後、新しく組成した取締役会の決定により収益のメインであったEVの受託開発事業に注力し、開発に多額な投資が必要な完成車事業は撤退する事となりました。EV事業での成功は、完成車事業で街の風景を変えるという想いに共感してくれていた多様なバックグランドを持つ優秀な人材が集まったからです。私は彼らと共に世界に挑戦していくため、フォロフライ社を設立しました。

 

物流業界をターゲットにしたEV車開発だけでなく、新たなインフラテック企業を目指す

  目指すのは単なるEVメーカーではなく、物流とITを融合したモビリティソリューションです。AIによるフリートマネジメントや、バッテリー交換の最適化、自動運転、MaaS対応など、自動車産業はもはや車を作るだけでは成り立たなくなっています。ECの普及により、街を走るガソリン車両が大幅に増えています。私達は従来の自動車メーカーに収まらず、インフラテック企業として脱炭素社会を実現するため、物流企業との連携を進め、エコロジー&エコノミーを重視した物流プラットフォームの構築を目指しています。
フォロフライのモビリティソリューション

開発主体のファブレス企業として生産は中国に外注

 スタートアップが自社工場を持つと資金繰りが苦しくなり、結果としてスピードも遅くなります。フォロフライ社のビジネスモデルは、テスラのような垂直統合型とは異なり、日本型の水平分業モデルを進化させたものです。EVはコモディティ化が進んでおり、安く大量に作るのは中国が得意です。しかし、車両の品質と安全性能を高める技術が、日本企業である私たちの強みになると考えています。

 

3Dプリンター住宅会社にも出資、代表も兼務

 小間氏が代表を兼務しているセレンディクス社は、世界最先端の家を車が買える低価格で提供するというプロジェクトを進めています。自動車産業で活用されているロボットアームを用いた3Dプリンターによって、安く、早く、安心して暮らせる家を出力します。こちらでも、わくわくする美しい未来の街の風景を創る挑戦を行っています。

シリアルアントレプナーとして、20社を超える起業に関わる

 常に最先端の技術に関心をもっており、ベンチャーキャピタリストとして出資も行います。“一流のヘンタイ”=突出した才能豊かな人材を集め、能力を十分に発揮できる環境を整えるのが私の仕事です。

 

interviewed by kips 2025.3.10




【フォロフライ株式会社】  
設 立:2021年8月3日
所在地:京都府京都市下京区中堂寺粟田町93 京都リサーチパーク4号館
資本金:16億976万円(資本準備金、資本剰余金含む)
役 員:8名(監査役含む)
事業内容:次世代自動車の開発販売 及び 環境対応型インフラサービスの提供
従業員:30名(パート委託社員含む)

 

【代表者略歴】

フォロフライ株式会社
代表取締役 
小間 裕康 氏 Koma Hiroyasu


生年月日:1977年8月3日
出身高校:甲南高校

大学在学中、自身もピアニストとして音楽家派遣サービスを創業。
電機メーカーBPO事業に展開し売上高20億円を達成。
2010年にGLM株式会社を設立しEVスポーツカーの開発量産に取り組む。
1,500億円を超えるSPAC IPOを実現後は2018年にはベンチャー投資ファンド事業を開始。
2021年にGLMの開発事業のノウハウをもとに商用EVの量産化を実現し、folofly株式会社を設立。

※「THE INDEPENDENTS」2025年4月号 - P.2-3より