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株式会社ペイフォワード
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インデペンデンツクラブ
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「関西スタートアップの動向と後輩起業家への期待」
■ 2024年 関西スタートアップのトレンド
松本:大阪のスタートアップ支援に幅広く携わる谷井さんの視点から、2024年の注目トピックを教えてください。
谷井:BABY JOB社のTPM上場がありましたが、全体的には厳しい年だったと感じています。2024年に上場予定だった企業がいくつか延期になったと聞いています。しかし、今年は明るい展開を期待したいですね。
松本:関西のスタートアップ支援に関しては、大阪府や大阪市をはじめ十分に整備されていると感じます。 大学発ベンチャーの存在感も増し、また多くの企業がCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を設立しています。
谷井:スタートアップも、学生のうちから挑戦する人や、大手企業から20代でスタートアップに挑む例も増えています。関西に不足しているのは1000億円規模のスタートアップの存在です。上場後も堅調に成長を続け、その規模に達する企業が現れることで、他の経営者にも「自分たちにもできる」という自信が広がり、地域全体の活性化につながると思います。ただ、意欲の高い経営者が多い一方で、現実的には東京との差を感じざるを得ない状況です。
■ EO Osaka初代理事長から現在に至る起業家支援活動
松本:谷井さんはM&AやIPOの両方を経験され、EXIT(事業売却)に関する知識も豊富です。その中で、関西の後輩起業家育成のために「EO Osaka」を2010年に立ち上げ初代理事長に就任されました。
谷井:若手起業家の世界的ネットワーク組織である「EO(Entrepreneurs’ Organization)」は成長意欲が高く、アントレプレナーシップを持つ人たちが集まるコミュニティです。質の高いプログラムや経営者同士の深い議論を通じて、経営者としての心の在り方や人生設計、そして人間としての成長を目指しています。あくまで経営者としての成長を目的としているため、ビジネス上の取引は厳禁としています。
松本:現在はペイフォワード社の代表として若手起業支援活動を行っています。
谷井:これまでに新規事業の企画・開発、新会社の立ち上げ、プリンシパル投資、さらには30社以上へのスタートアップ投資を行ってきました。その中で8~9社がすでに上場しており、今年も上場予定の企業があります。当社の投資スタイルはファンド形式ではなく、リターンを追求するというより、良い会社を育てることにフォーカスしています。また、投資先が成功するためには、PRや採用、組織作りなど、あらゆる面で支援を行っています。
■ 大阪・関西万博への期待
松本:2025年に開催される大阪・関西万博について、スタートアップへの影響も含め、どのよう期待されていますか?
谷井:現時点では認知不足という課題もありますが、大いに期待しています。関西地域への経済効果は非常に大きく、万博に出展するスタートアップも、世界中の人々とのビジネスパートナーシップを築く絶好のチャンスとなるでしょう。関西を中心としたビジネスのさらなる広がりに期待しています。
■ インデペンデンツクラブへの期待
松本:インデペンデンツクラブに対する率直なご意見をお聞かせください。
谷井:日本全国津々浦々でイベントを開催することには大きな意義があると思います。多くのVCや支援機関が東京に集中しているため、大阪ですら全国区になるには苦労が伴います。地方の素晴らしいスタートアップが全国区で活躍できるような架け橋になってほしいと願っています。過去に登壇した企業のデータベースを構築し、大企業のオープンイノベーション担当者が一緒に取り組めるスタートアップを検索・オファーできるような仕組みを作るなど、継続的な支援を続けてほしいと考えています。
interviewed by kips 2025.1.15
※「THE INDEPENDENTS」2025年2月号 P.4より
※ 冊子掲載時点での情報です