固定推進剤と液体推進剤の組み合わせで環境配慮型のロケットエンジンを開発

株式会社スペースボア 代表取締役 CEO 岸川 俊大 氏

■ 香川発ロケットエンジン開発スタートアップ

 香川県高松市を拠点とする当社は、アマチュア宇宙開発団体「SanukiAstroProject」を母体として、コストと環境負荷を低減した革新的なロケットブースターエンジンの開発む企業として2024年3月に設立されました。従来の固体燃料ブースターと比較して5分の1のコストで、かつ環境負荷を50%以上低減できる新型ロケット補助エンジンの実用化を目指しています。

 代表取締役CEOの岸川氏は、三菱重工でエンジニア経験を持ち、開発経営陣には、制御、設計、金属加工など、それぞれの分野のスペシャリスト7名が在籍しています。

■ 新型ロケット補助エンジンの開発

 過去に実用化が進められていた原子力ロケットエンジンにヒントを得て、無酸素の空間で使える大きな加熱源で、さらに現在の固体燃料より安価で安全なものを探し、それを満たす熱源が見つました。それを使ったロケットエンジンの仕組みとして特許出願を行いました(特願2023-146778)。

 現在は加熱源のみの検証を実施中ですが、液化アルゴンなどの安全な希ガスを用いた加熱膨張試験を行い、最終的には液体水素の利用も視野に入れ、最終的には300トン級のエンジン開発を目標としています。

■IPOに向けて

 短期間での開発・量産が可能な当社エンジンは、試験段階で高い信頼性が確認されており、既に数社からの問い合わせを受けています。

 2033年のIPOを見据え、2029年に商業エンジン供給開始までに25億円の資金調達、そして2032年度40億円の調達を計画しています。

 IPO時には100億円規模の資金調達を行い、生産ラインの拡充や次世代エンジン開発、海外展開に投資していく予定です。

 当社は、環境負荷を50%以上低減し、従来エンジンに対して20%以上のコスト効率を実現するエンジン開発により、商業宇宙市場に不可欠な存在となるこ目指していきます。

 

開発目標開発目標

特許出願へ特許出願へ

今後の展望今後の展望

 

 

 
 

コメンテーターより・・・

弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 井上 修一  

 今後の宇宙産業の発展のため、貴社が目標とする安価かつ環境負荷が小さいロケットエンジンの開発は必須であると思われます。このような目標の達成に向け粘り強く開発を進める姿には、頼もしさを覚えました。

 また、ロケットエンジン開発に限らず、スペースポートの運営まで目指されている点も、打ち上げ場所の確保が難しい宇宙産業にとって素晴らしい取り組みであると感じます。

 国内の限られた市場にとどまらず、国際市場で広く活躍されることを期待しています。

 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 井上 修一 氏

 
※「The INDEPENDENTS」2025年1月号 - P.9 掲載