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「ベンチャーキャピタル業界の現状と展望、今後のインデペンデンツクラブ」

 

 

日本ベンチャーキャピタル株式会社
代表取締役会長
奥原 主一 氏 Okuhara Shuichi

1994 年東京大学工学系研究科情報機械工学修了後、アンダーセンコンサルティング( 現・アクセンチュア) 入社。大手メーカーにて最先端の技術コンサルティングに関与。
1998 年日本ベンチャーキャピタル( 株) 入社。
2008 年取締役投資部長就任。2009 年4 月代表取締役社長就任。
2019 年6 月より代表取締役会長就任( 現職)。
2015 年11 月インデペンデンツクラブ理事就任。

 

 

インデペンデンツクラブ
代表理事
松本 直人 氏 Matsumoto Naoto

1980年3月23日生
大阪府立三国丘高校出身。神戸大学経済学部卒業
2002年フューチャーベンチャーキャピタル㈱入社
2016年1月同社代表取締役社長に就任
2022年7月㈱ABAKAM 設立、代表取締役就任(現任)
2023年3月㈱Kips 取締役就任
2024年9月インデペンデンツクラブ代表理事就任


「ベンチャーキャピタル業界の現状と展望、今後のインデペンデンツクラブ」

松本:本日は、インデペンデンツクラブ理事であり、数多くの投資先IPO実績がある日本ベンチャーキャピタル(NVCC)奥原会長にお話を伺います。まずは、VC業界の2024年現在の状況やトレンドをどう見ているか教えてください。

奥原:日本のVCファンド総額は増えましたが、課題は回収率にあると思います。我々が2018年度以降のVCの推定IPO回収額を調査したところ、毎年コンスタントにIPO実績があるVCは極めて少ない。ファンドの大型化が進み、回収「額」は健闘するも回収「率」がファンドサイズに追いつていません。2018年のメルカリIPOがなければパフォーマンスは厳しかったと思います。

松本: VC業界は数も増え多様化も進んでいます。

奥原:過去5年間でIPO実績のあるVCは281社です(2023年末現在)。ディープテック注力VCは現在のところ回収額及び回収率は低く、シード投資型VCは少額分散投資に徹しているためファンドサイズは小さいです。

松本:IPOの株価が冴えない状況が続き、VCの投資環境は大きく変化していくと思います。

奥原:日本は世界一IPOがしやすいマーケットなので、VCもスタートアップもユニコーンを追求するより、スモールIPOでも良いのでIPO後のスケールを目指すべきだと思います。


松本: NVCCの投資先IPOの累計は173社(2024年9/27現在)と業界でも上位に入ります。

奥原:今年はAIロボティクスなど5社、2023年度はクオリプスなど4社、2022年はANYCOLORなど6社とこの10年毎年連続してIPOを輩出しています。

松本:投資運用ファンド総額は380億円です。

奥原:投資残高は122億円(2023年12月末)で、年間投資額は2023年16億円でした。成長ステージ別での投資残高はアーリー64%、ミドル28%、レーター5%となります。業種別投資残高は情報通信55%、医療29%、環境エネルギー2%、サービスその他となっています。

   


松本:インデペンデンツクラブでは、事業計画発表会において昨年度105社、今年度も既に52社がプレゼンしており、全体の6割以上が東京以外の地域からです。

奥原:地方企業のプレゼンはずっと継続して欲しいと思います。我々も地方企業には有望な企業が数多くあると考えています。

松本:特に地方の企業において資金調達ニーズが高まっており、オンラインだけでなく東京の会場でのプレゼン機会を増やしています。

奥原:地方では資金だけでなく人材採用面も大きな課題になっています。インデペンデンツクラブとも連携しながらスタートアップ企業の支援ができればと思います。

松本:ぜひコラボ企画を実現させてください。本日はありがとうございました。


interviewed by kips 2024.10.11


※「THE INDEPENDENTS」2024年11月号 P.14より
※ 冊子掲載時点での情報です