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「医療業界で培った照明技術で、工業・医療・モバイル市場に、革新的照明ソリューションを提供する」

シンクロア株式会社 代表取締役 綾部 華織 氏
 × 弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏


鮫島:シンクロア社は医療照明の光学設計技術をベースに独自のヴィジョンシステム「PHASERAY®(フェーズレイ)」の開発販売を行っています。

綾部:手術現場で「作業中に影を作らない」「見たいものだけを強調する」「長時間見続けることができる」等照明に対する要求はとても厳しくあります。
その技術を検査機器に応用できないかと思い、医療照明開発に長年携わってきたソニーの技術者だった小山光広と一緒に起業しました。
「PHASERAY®」の特徴は、特殊な位相偏光板と医療照明技術からなる配光制御により、あらゆる物体の影やグレアを除去できる画期的な照明システムです。品質検査の自動化におけるAIラーニング時に有効な、デジタル処理をする必要のない画像を取得できます。

鮫島:6件の特許を取得済みで、反射をキャンセルする「特殊位相偏光技術」、細かな凹凸を強調させる「光干渉技術」、構造の奥まで光を入れる「無影灯設計技術」の3つのコア技術をどのようにビジネスするお考えですか?

綾部:医薬品業界、食品業界では異物検査に、自動車産業ではキズ・バリ・塗装むら等、半導体業界では製造工程におけるエッチングガス内のコンタミ状態を可視化することで使用されています。 現在は、自動化用照明装置として、大手半導体メーカー、大手自動車メーカー3社等から特注品の依頼を受けています。 新規プロジェクトとして、一般消費者がフリマ出品等で簡単に綺麗な商品画像を撮影することが出来るスマートフォン内蔵型の試作もしております。 今後は、工業分野のみならず、AI医療や内視鏡分野への応用も進め、共同開発した製品からのライセンス収入拡大を進めていきます。

鮫島:シンクロア社の技術は特許に書けないノウハウの部分があります。共同開発から製品化する段階でどのように知財を保護していくかが今後の課題に思います。

綾部:大企業とのビジネスを広げていく中で、知財保護のため周辺特許の取得費用が嵩む事を懸念しています。

鮫島:スタートアップが大企業等と仕事をする中で知財を保護する方法としては2つが考えられます。1つ目は契約で保護する方法です。保有する基本特許の利用許諾範囲を設定し、プロジェクト毎に契約します。2つ目はビジネスモデル特許を取得する方法です。ビジネスモデル特許は細かい技術に左右されないため、汎用技術を持つスタートアップの知財を保護するためには非常に有力となります。

 

―「THE INDEPENDENTS」2024年8月号 P.12より

※冊子掲載時点での情報です
 
 

 
  <話し手>
シンクロア株式会社 綾部 華織 氏
(→ イベント登壇情報

生年月日:1965年8月27日
出身高校:東京都立忍岡高等学校卒業
1986年 太陽歯科衛生士専門学校卒業
1986年 東京女子医科大学歯科口腔外科入局
1991年 東京女子医科大学歯科口腔外科退局
1992年 東芝メディカルシステムズ入社
     医学翻訳業務、放射線学会海外事務局従事
2011年 シンクロア株式会社設立、現在に至る。

シンクロア株式会社
設 立:2011年4月7日
所在地:神奈川県川崎市幸区新川崎7-7 かわさき新産業創造センターKBIC内202号室
資本金:60,000千円
事業内容:品質管理用、外観検査用照明装置の開発・製造販売


   <聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 鮫島 正洋 氏
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

 

シンクロア株式会社

住所
神奈川県川崎市幸区新川崎7-7かわさき新産業創造センターKBIC本館202
代表者
代表取締役 綾部 華織
設立
2011年4月
資本金
60,000千円
従業員数
事業内容
品質管理用、外観検査用照明装置の開発・製造販売
URL
https://www.synqroa.co.jp/