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「キャンピングカーをもとに可動産市場を創出し、バンライフ文化を広める」

<起業家インタビュー>

― 国内最大級のVAN LIFE(バンライフ)プラットフォームを運営されています

バンライフとは、車を通じた旅や暮らしにより、“人生を豊かにする”ことを目的として、荷台スペースが広い車“バン”を家やオフィスのように作り変え、車を働く・遊ぶ・暮らしの拠点とする新たな“ライフ”スタイルを指し、世界中で注目されているムーブメントです。「私らしく、自由に生きたい。」と願う旅人が日本でも増えている中、当社ではキャンピングカーのシェアリング事業とキャンピングカーの製造・カスタムを行うモビラボ事業の2つを軸に展開しています。

 

― シェアリング事業はどのような層が利用されていますか

よりローカルな体験を求める訪日観光客やペット同伴の旅を楽しみたい30~50代のファミリーが多く、密を避けて自然を味わいたい、偶発的な出会いを楽しみたいというような利用も増えてきています。平均利用単価は約5万円(2泊3日程度)ですが、海外利用者の中には3ヶ月通しで借りられる方もいます。現在、会員数は昨対比で150%伸長し、GMVで見ても昨対比200%で推移しています。

 

― 既存の資本力がある大手カーシェア事業者の参入は脅威ではありませんか

シェアリング事業における当社の強みはユーザー体験まで含めたサービス設計だと考えています。もともと車中泊できるスポットの検索・予約からスタートしており、その先のアクティビティまで含めた体験を集積してきた点は大きな優位性です。



― 神奈川県横浜市で開設したバンライフガレージがモビラボ事業の拠点になっています。

「Mobi Lab.(モビラボ)」は、車両の販売・リノベーションや、DIYスペース提供、カスタム・修理の相談ができるコミュニティスペースの位置付けです。オンラインでの事業運営だけでなく、リアルな場を持つことに意味があると考えています。首都圏に車両をメンテナンスできる場がなかったという実利的な側面もありますが、我々の世界観を伝える手段としても機能しており工場で働くエンジニアやデザイナーの採用にもつながっています。

 

― 国内キャンピングカー市場はこの10年で3倍になるなど成長トレンドですが、モビラボ事業の戦略はどのようなお考えでしょうか。


現在、新車のキャンピングカーは納車に約3年かかると言われています。これは需要過多であることも要因ですが、一品生産に近い製造体制がボトルネックになっています。当社では、「Mobi Lab.」を通じて培ってきたノウハウをベースに、キャンピングカー・ブランド「SAny.(サニー)」を立ち上げ、お客様の車両をキャンピングカーに改造する「フルカスタム」、外装や内装のデザインを改修する「フルリノベーション」などを提供しています。また、今年10月にはDIYでキャンピングカー化できるキットの販売も計画しており、これらを通じてより多くの方へスピーディーにバンライフをお届けします。

 

― 今年8月に日本初の本格EVキャンピングカー「moonn.(ムーン)」を発表し大きな話題となりました

共同開発先のHW ELECTRO(株)がEV部分を、当社が荷室スペースの設計等を担当しました。地球環境に優しいだけでなく、あらゆる電化製品の利用が可能な「動くリビング」として快適性や実用性も大幅に向上されています。販売価格は1150万円~(税込)を予定しており、EVにおけるハイエンドクラスとしても訴求しながら、今後1年間で20台の販売を目指します。

 

― シェアリング事業とモビラボ事業の相乗効果でプラットフォームに好循環が生まれつつあります

質の高いキャンピングカーの確保がシェアリング事業のKSF(重要成功要因)であり、その登録を待つのではなく自ら生み出していくのがモビラボ事業の狙いです。これまで蓄積してきたデータやネットワークを活用することで、真に求められるものを製造・カスタムできる点が強みと言えます。そうやって人気のある(=質の高い)キャンピングカーを製造販売し、それがシェアリング事業に還流されることでGMVを最大化させる。そして一部の利用者がモビラボ事業の顧客となる。このサイクルをぐるぐる回し大きくしていくことが当社の成長戦略です。

 

― 最後に、今後の展望をお聞かせください

キャンピングカーは不動産と自動車の間の子である「可動産」だと我々は捉えています。収益を生み出す運用資産として投資家を呼び込むことができれば、バンライフ文化を普及させる大きな後押しになります。また、これから到来する自動運転時代において、移動手段だけでなく滞在手段として付加価値を提供できるキャンピングカーが担える役割は大きいものがあります。これら可能性をしっかりと形にし、豊かなライフスタイルづくりに貢献していきます。


interviewed by kips 2023.8.9

 



【Carstay株式会社】  (→イベント登壇情報
設 立 :2018年6月1日
所在地 :神奈川県横浜市旭区中希望が丘102番地 ジョイビル301号室
資本金 :133,943千円(主要株主:経営陣、VC、事業会社、個人投資家ほか)
役 員 :(代)宮下 晃樹、野瀬 勇一郎
事業内容:キャンピングカー&車中泊スポットのシェアリング事業
キャンピングカーの製造・リノベーション事業
従業員数
 
 

 

 

【代表者略歴】

Carstay株式会社
代表取締役
宮下 晃樹 氏 Miyashita Koki


生年月日:1992年3月14日 出身高校:慶應義塾高校
慶應義塾大学経済学部卒業。20歳で公認会計士試験合格。2014年Deloitte Japan入社、IPO支援業務に従事。2016年独立し、NPO法人SAMURAI MEETUPSを立上げ、累計1200名の訪日外国人を地方に誘致し、旅行者と地域観光の課題は、移動と滞在方法の選択肢が少ないことと確信。2018年当社設立、代表取締役就任。

 


※「THE INDEPENDENTS」2023年9月号 - P.2-3より

Carstay株式会社

住所
神奈川県横浜市旭区中希望が丘102番地ジョイビル301号室
代表者
代表取締役 宮下 晃樹
設立
2018年6月1日
資本金
139,943,376円
従業員数
事業内容
キャンピングカー&車中泊スポット予約アプリの開発運営
URL
https://carstay.jp/
情報更新日
2023年7月18日

※上記は、情報更新日時点での情報です。