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「日本発R&Dアウトソーシングのプラットフォーム企業に向けて」

 

<話し手>
代表取締役 古谷 優貴 氏
1986年9月5日生。出身高校:盛岡第三高校。 2011年、東北大学工学研究科修了。昭和電工(株)にてパワー半導体(SiC)の研究開発・事業立上げに従事。2017年4月当社設立、代表取締役就任。2020年東北大学客員准教授(総長プロボスト室)に就任。

【株式会社Co-LABO MAKER】
【設 立】2017年4月17日
【所在地】宮城県仙台市青葉区国分町1-4-9 enspace
【資本金】32,432千円
【事業内容】実験機器・設備および技術のシェアリングプラットフォームの企画開発運営

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋 氏
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

鮫島正洋の知財インタビュー

「日本発R&Dアウトソーシングのプラットフォーム企業に向けて」

鮫島:私がエンジニアだった頃、東レリサーチセンターには随分お世話になりました。同社が培ってきた高度な分析・解析技術やその専門家、最新設備を外部に開放するもので、世界で見ても初めての試みだったと思います。貴社の事業は、1社ではなく複数社に分散した設備等のアセットをネットワークしている点が革新的です。


古谷:大学や企業で超高額な実験機器や設備が年に数回しか使われていないことに疑問を持ったのが事業のきっかけです。弊社が手がける研究開発リソースシェアリングプラットフォーム「Co-LABO MAKER」では、地方国立大学や都内私立大学、創薬系スタートアップや化学系中小企業等が5000以上のラボ・機材を登録し、研究者に最適な実験を手間なく即実施できる環境を提供。2018年3月にβ版を開始して以来、2,000件以上の依頼に対応しています。

鮫島:知財の専門家として気になるのは、ここで生まれた研究成果や発明の取り扱いです。委託を受けたラボ側がその実験の過程でひらめくことも多いのではないでしょうか。


古谷:マッチング後、利用を確定する前に相談するプロセスは組み入れており、通常は利用者側の権利としています。運営者として技術のコンタミネーションが起こりにくい構造に工夫もしていますが、必要に応じて双方で共同研究契約を締結するケースもあります。

鮫島:研究リソースのシェアリングではなく研究開発委託と捉えれば、国内のみならず海外にも大きな市場が拓けてきます。日本では追随を許さず確固たる地位を築きつつありますが、グローバルで見て競合状況はいかがでしょうか。


古谷:製造業がファブレスになってきたように、海外ではR&Dのアウトソーシング化がトレンドで、Scientist.comやScience Exchange(いずれも米国)が台頭してきています。特にCRO(創薬研究)が急成長しており、大手製薬会社の獲得競争が過熱気味です。弊社もラボシェアからR&Dアウトソーシングへの進化は目論んでいますが、バイオだけでなく化学や材料など日本の強みを生かした展開ができればと考えています。

鮫島:国内の市場環境下では特許の優先度が低かったのかもしれませんが、グローバルで海外勢と勝負するなら知財戦略は必須ですね。ビジネスモデル特許が一つの選択肢ですが、マッチングをより高精度に実現する機能などは今後検討の余地があると思います。


古谷:ビジネスの相手方に大手企業も多く、権利性を考慮しても特許の意義は大きいと思い始めています。今後のファイナンスについても、「Co-LABO MAKER」の新規性や参入障壁の証明としてプレゼンできる。あらゆる研究活動が集まる場でもあり、知財をキーワードにした新規事業の構想もあるので、まずは自分たちが率先して取り組んでみたいと思います。本日はありがとうございました。

―「THE INDEPENDENTS」2023年4月号 P12より

※冊子掲載時点での情報です

株式会社Co-LABO MAKER

住所
宮城県仙台市青葉区国分町1丁目4-9 enspace
代表者
代表取締役 古谷優貴
設立
2017年4月
資本金
62,687,691円(資本準備金含)
従業員数
事業内容
実験機器・設備および技術のシェアリングプラットフォーム「Co-LABO MAKER」の企画・開発・運営
URL
https://co-labo-maker.com/