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「地方創生で期待される新しい資金調達手法」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現理事)
2020年6月 (株)ラクス社外取締役就任

 長岡インデペンデンツクラブにて、松本直人氏が代表取締役を務めていたフューチャーベンチャーキャピタル(FVC)の地方創生ファンドについてお話いただきました。FVCで松本氏は信用金庫・信用組合を中心とする地域金融機関と37の地方創生ファンドを2022年4月まで組成し、「創業支援」「事業承継支援」「地域企業の経営改善」「域内経済の活性化」等のソーシャルインパクトを中心テーマに300社以上の投資実績があります。 必ずしもIPOを前提とせず、自社株買いを前提とした取得請求権付き種類株による投資手法で、IPOを前提とした従来のベンチャーファンドとは一線を画しています。「おおさか社会課題解決1号ファンド」では25社に出資してデフォルト0社、Exit3社(うち1社はIPO)、平均投資回収倍率4.77倍という驚異的なパフォーマンスを実現しています。
 投資のポイントは、「共感」「感動」を得る事業かどうか、経営者の思いが強いか、金銭欲求ではなく自己実現欲求の強い優秀な人材が採用できるか、商品/サービスを広めてくれる支援者がいるか、等との事です。FVCの「えひめベンチャーファンド2004」では11社出資中6社が上場しましたが、地域活性化のためには、IPO支援は必要だが、それだけでは十分ではないことを痛感し、地方創生ファンドを開発、全国に広めていったそうです。

 長岡インデペンデンツクラブでは、4大学(長岡技科大・長岡造形大・長岡大・長岡崇徳大)と長岡高専、行政機関が連携する「NaDeC(ナデック)」構想に、東北ベンチャーパートナーズによるGAPファンド活用や事業創造キャピタルの活動など地域VCの事例も紹介させていただきました。長岡山古志地域では地場産業の錦鯉をデジタルアートしたNFTも発行されています。地方創生に金融機関・VC・行政・デジタル通貨等の新しい資金調達を活用する取り組みが始まっています。


※「THE INDEPENDENTS」2022年11月号 - p11より