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「膜分離技術でカーボンニュートラルに貢献」

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【澤村 健一 氏 略歴】
生年月日:1979年11月7日
出身高校:福岡県立小倉高校
2003年早稲田大学卒業。2008年早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻博士後期過程修了(博士(工学))。早稲田大学先進理工学部助手、日立造船(株)を経て2013年当社設立、代表取締役就任。

【イーセップ(株)】
【設 立】2013年10月1日
【所在地】京都府相楽郡精華町精華台7-5-1 KICK
  (他拠点:京都市成長産業創造センター内、広島大学内など)
【資本金】213,000千円
【株 主】経営陣、VC、事業会社
【役 員】(代)澤村健一、熊木実、五ノ井浩二、石畑成人 (監)寺本和生
【事業内容】ナノセラミック分離膜の製造・販売 及び膜分離システムの設計・開発・ライセンス
【売上高】96,147千円(2021年9月期)
【従業員】23名

膜分離技術でカーボンニュートラルに貢献


■分離膜の量産化体制へ

膜分離技術は将来の化学・石油産業のプロセスを簡略化し、エネルギー消費を劇的に削減するための有望な技術の一つです。当社は簡易、エコかつ高効率な分離のための膜分離技術の開発と提供を行っています。基幹材料となるセラミック製の機能性分離膜の製造とそれを活用した省エネ機器に焦点を置き、セラミック分離膜事業の世界シェアNo.1を目指します。



■新規でカーボンニュートラル事業を自ら展開

 いよいよ量産化段階に辿り着き、2,000本以上/月の製造体制を目下構築中です。世界的にカーボンニュートラルに向けた取組みが進む中、大手化学メーカー等への導入に向けて、セラミック分離膜事業の有効性を自ら実証すべく、以下3つの事業に注力していきます。

①化学溶剤のリサイクル
現行の蒸留プロセスは大型かつ手間がかかり廃棄した方が省エネとなるため、リサイクル率は1-2割に留まっています。これに対し、膜分離の高効率化と量産化によるコスト低減によって経済性が見合うレベルに到達してきた中、プロセスへの導入ではなく、まずは小型分離膜装置を用いて廃棄されている化学溶剤のリサイクルから取り組んでいきます。

②e-fuelの高効率合成
e-fuel合成の化学反応過程でボトルネックとなるH2Oの除去に膜分離技術を応用することで、高効率性を実現しました。2021年に(株)やまびこと共同研究開発契約を締結し、同社の主力製品である小型屋外作業機械でのe-fuel活用に向けて実証実験を進めています。

③水素キャリアの利活用
NEDOの採択を受けて、MCHやエタノール水など水素キャリアから膜分離技術を用いて水素をオンサイト・オンボードで抽出・精製・利用できるための技術開発を進めています。これが実現すると、水素ステーションがなくても水素の利活用ができるようになると期待されています。
 当社が拠点を構えるけいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)においても、各種カーボンニュートラル化学プロセスの小規模実証設備の構築に着手したところです。国際的な学会や展示会が行われる当地から、日本発のカーボンニュートラル技術を世界に訴求し、炭素循環社会の実現に寄与していきます。

※2022年6月号掲載時点での情報です