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「ベンチャーキャピタル出身の公認会計士」

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長谷川公認会計士事務所
長谷川 孝至さん

昭和28年4月 富山県生まれ。昭和47年3月 富山中部高校卒。昭和53年3月 富山大学経済学部卒。昭和53年4月 ピート・マーウィック・ミッチェル会計士事務所入所(現KPMG)。昭和54年9月 長谷川公認会計士事務所開設。平成元年9月 日本合同ファイナンス入社 (現JAFCO)。平成15年10月 東証一部上場の情報サービス企業において事業本部長、管理本部副本部長(経営企画担当)を歴任。平成18年2月 上記子会社のソフトウェア開発会社にて商品開発、マーケティング担当(現任)

住所:埼玉県さいたま市 TEL:048-883-4763

― 監査、株主、経営者のそれぞれの観点を活かしたコンサルティングをされています。
長谷川:現在は会計ソフト開発会社のセミナー講師やソフト仕様決定時のアドバイザーを行っていますが、一方で株式公開しようとしている会社からの相談も多く受けております。そこには監査法人、ベンチャーキャピタル、上場会社役員の私の経験が大きく役に立っています。立場上、監査法人はは企業に対し厳密な会計処理を求め勝ちですが、理論と実務には隔たりがあります。私は実質的になにができればいいのか、その目的はなになのかを明確にした上で、それを達成するためのいくつかのプロセスを提案し、その中から企業にとって現実的な対応策をアドバイスしています。

―VC時代の印象に残る投資を教えてください。
長谷川:ひとつはある投資先企業の女性社員一同から私の誕生日に大きな花束が届いたことです。苦しい時代を共に乗り越えた感謝の気持ちが込められていて本当に嬉しく思いました。もうひとつは投資先企業の株式の売却の案件です。その投資先の大株主の1社である外国企業から100%子会社にするための株式買取の申し出が来ました。しかし、持株の売却条件は原価割れ。他の株主は大反対です。弁護士を挟んで交渉しましたが決裂。しかし、この投資先はこの外国企業から多くの仕事をもらっており、交渉が決裂すればこの仕事が全く来なくなる事は明らかでした。何としても投資先社員の雇用を守りたいとの一念で、再交渉をするよう各株主を説得しました。その結果、その外国企業は株価を引き上げ、交渉は成立し投資先は救われました。その後、投資先社長とその外国企業の社長から食事に招かれ、その外国企業の社長から「あなたの英語はあまり上手ではないが、あなたの考えは終始首尾一貫し、常に公正でした。」と言われたことをとても嬉しく思いました。

―座右の銘はなんでしょうか。
長谷川:それは「誠実」ということばです。部下に対しても、仲間に対しても、お客様に対しても誠実であることです。誠実に接することにより相手から信頼され、そして尊敬されます。すべての人間関係、ビジネスはこの「誠実」からスタートすると信じています。これは私が所長をしていた金沢での会計事務所時代からずっと大切にしている考えです。

―ベンチャーキャピタリスト三位一体説
長谷川:ベンチャーキャピタリストを機能面からみると「投資先を見つけること」「投資先を評価すること」「投資先を育成すること」の3つが構成要素だと思います。私が以前JAFCOにいた時はこれらを投資部・投資調査部・コンサル部が担っていました 。私は公開コンサル10年、投資部門3年、回収部門2年と在籍しましたが、この3機能の多くの部分を経験できたことを幸せに思っています。このような経験を活かし今後も企業の成長支援を行っていきたいと思います。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2009年6月号 - p13にてご覧いただけます