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「改良型ラクトフェリンで医薬品の開発」

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【加賀谷 伸治 氏 略歴】
生年月日:1971年4月28日
出身高校:岡山県立岡山朝日高等学校
東京工業大学生命理工学部卒。筑波大学バイオシステム研究科修士課程終了。(株)ジェノックス創薬研究所、独立行政法人理化学研究所(財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 流動研究員)、(株)ピリオドック主任研究員。国立成育医療センター共同研究員、日本シグマックス(株) 、(株) NRLファーマ ヘルスケア研究開発部兼創薬研究部課長を経て当社創業。

【(株)S&Kバイオファーマ】
【設 立】2020年4月1日
【所在地】神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 KSP西棟
【資本金】11,500千円
【株 主】加賀谷伸治、佐藤淳、竹内崇
【役 員】(代)加賀谷伸治
【事業内容】ラクトフェリン融合タンパク質の医薬品開発
【売上高】0千円(2021年3月期)
【従業員】1名


改良型ラクトフェリンで医薬品の開発


■ラクトフェリンと当社のシーズ

当社は、最高技術顧問である東京工科大学の佐藤淳教授が開発した「ラクトフェリン融合タンパク質及びその製造方法」、「ラクトフェリン/アルブミン融合タンパク質及びその製造方法」のシーズを、医薬品として開発しています。

ラクトフェリンは、母乳、涙、唾液、膵液などに豊富に含まれる安全性の高い鉄結合性糖タンパク質で、免疫賦活化作用、抗炎症、抗腫瘍、鎮痛、抗菌、抗ウイルスおよび神経保護作用などの機能を持ちます。本シーズは、ラクトフェリンの血中安定性を向上させ、生理活性を増加させています。



■難治性疾患の治療薬として開発中

当社は、好中球細胞外トラップ(NETs)形成をラクトフェリンが阻害することを発見しました。NETsの過形成は、急速進行性糸球体腎炎、ANCA関連血管炎やCOVID19重症化に関わっており、NETsの過形成を阻害することが治療になります。 また、ヒトラクトフェリンが、脊髄損傷の神経再生阻害の主因となるコンドロイチン硫酸E(CS-E)に対して強力に中和作用することも発見しました。これらの発見は、上記の難治性疾患の治療薬開発につながります。

事業計画は、ラクトフェリン融合タンパク質を前期臨床試験まで行い、疾患ごとのライセンスアウトを目指します。第1開発疾患は、NETs形成阻害が分子標的になる指定難病の急速進行性糸球体腎炎(RPGN) /ANCA関連血管炎とし、前期臨床試験後、導出を行います。第2開発疾患は、亜急性期の脊髄損傷またはNETs形成が原因となる敗血症とし、それらの疾患に対しても導出を目指します。

■所有知財と市場について

当社は、機能性食品のウシ・ラクトフェリン腸溶剤を事業化しているNRLファーマの医薬品開発部門が独立したものです。ラクトフェリン融合タンパク質及びその製造方法、ラクトフェリン活性を有するタンパク質を含む抗ガン治療補助剤ほか、合わせて5つの知財を保有しています。

メンバーは、技術顧問として中外製薬生物製剤開発者で元取締役の方、元日本ロッシュの薬物動態の方です。東京工科大学、鳥取大学、横浜薬科大学等と共同研究を進めています。ターゲット市場の規模は、敗血症は、日米英国で年間150万人が発症日米英国150万人)し、急速進行性糸球体腎炎は日米英で21,700人発症し、脊髄損傷は日米で14,000人損傷しています。その市場価値は、1900億円に上ると期待しています。

※2021年11月号掲載時点での情報です