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「名証市場の特性を踏まえた上場制度の整備について」

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<特別レポート>

2021年7月9日 名古屋インデペンデンツクラブ


大澤 誠 氏(株式会社名古屋証券取引所 営業推進グループ)


■区分名称が「プレミア」「メイン」「ネクスト」に変更

東京証券取引所(以下、東証)の市場再編に伴い、名古屋証券取引所(以下、名証)は、2022年4月より、これまでの1部、2部、スタートアップ企業向けの「セントレックス」を、それぞれ「プレミア」「メイン」「ネクスト」に名前を変え、来年の4月4日から制度施行します。

新規上場申請は、今年の9月1日から新しい基準で審査を行います。



■プレミア市場への上場基準の見直し

東証は独立構造ですが、名証は階層構造を取っています。プレミアへの上場基準は、時価総額基準を現在の「40億円」から、直接上場した場合と同じ「250億円」に引き上げるなど東証プライム市場と同水準に見直します。上場維持基準も「20億円」から「100億円」に引き上げます。ただし、既上場会社がルール変更によって基準を満たせない場合でも、当分の間、緩和措置として「20億円」を基準とします。(当分の間の期間は今後調整していきます。)

■流通株式総額の基準は設定なし

東証と違い、流通株式時価総額に関する基準は、名証ではいずれの市場でも設けていません。

■個人株主所有割合を一定数確保

名証は個人投資家が主体の市場という特色を持っていることから、プレミア市場とメイン市場には個人株主所有割合をプレミア市場では5%以上又は株主数2,000人以上、メイン市場では5%又は300人以上という上場維持基準を新たに導入致しました。

■上場時価総額基準について

東証のスタンダード市場、グロース市場にはない上場時価総額基準として、メイン市場に上場の場合は10億円、維持は5億円以上、ネクスト市場に上場の場合は3億円以上、維持は2億円以上となっています。

■ネクスト市場の特徴

ネーミングにもあるように、ネクスト市場に上場いただいた企業にも、早い段階でメイン市場などへステップアップ上していただくことを願っております。東証グロース市場との違いとして、例えば「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」を求める際、「着実な成長可能性を実現するための事業計画が適切に開示され・・・(省略)」とし、「着実性」を重視し、東証の「高い成長」とは違いをもたせています。

■メイン市場にマッチする企業

名証は、メイン市場(現名証二部)を、ぜひ全国の中堅企業にご利用いただきたいと考えています。特に旧東証ジャスダック市場での上場を検討されていた企業様などは、流通時価総額は東証スタンダード市場では2倍の10億円、維持基準も4倍の10億円と同額となりました。今後新基準に照らし合わせた場合、時価総額で50億未満となりそうな企業様はメイン市場をご選択いただく方が良い場合もあると考えています。

また、旧東証ジャスダック市場には定めがなかった流通株式比率も東証スタンダード市場では25%以上となりましたが、メイン市場では旧東証ジャスダック基準にあった上場株式数10%又は1,000単位以上のいずれか多い方の公募・売り出し実施することもご選択いただけます。上場後の所有比率を80%以上維持したいオーナー系企業様等には、資本政策の多様性、自由度を高めることに寄与できると考えております。

以上のような東証市場にはない名証市場の特性をご理解いただき、上場市場の選択肢としてご検討いただきたく思っております。

※「THE INDEPENDENTS」2021年8月号 - P15より
※冊子掲載時点での情報です