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「デジタルマーケティング/DX支援企業の事業戦略」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)


<話し手>
株式会社コミクス
代表取締役 鈴木 裕章 氏
生年月日:1969年5月20日 出身高校:大阪府立桜塚高校
甲南大学法学部を卒業後、広告代理店の営業部長を経て、2000年インターネット広告を手掛けるアイブリッジ(株)入社、2005年7月代表取締役就任。2007年9月アイブリッジ(株)、アドデジタル(株)、アカラ(株)、ブランド総合研究所という4つの会社を束ねるグループ会社へと成長した同社の社長を辞し、(株)コミクス設立、代表取締役社長就任。

株式会社コミクス
設 立 :2007年9月6日
所在地 :東京都渋谷区円山町15-4 近藤ビル2階
資本金 :70,840千円
事業内容:デジタルマーケティング支援/SaaS支援/DX支援事業

<特別対談>これからのIPOスタイル

デジタルマーケティング/DX支援企業の事業戦略


小原:まずは事業の全体像からお聞かせください。


鈴木:一言で言えば、Web接客領域すべてのマーケティング課題を解決する事業を各種手がけており、そのカバレッジの広さが当社の強みです。より具体的には、【流入フェーズ課題】では当社が12年間培ってきたデジタルマーケティングの知見を用いた施策を、【サイト内改善課題】ではA/Bテスト等でCVRを現状より更に改善する「GrowthHack-365」を、【フォーム課題】ではEFO対策ツール「EFO-CUBE」やチャット接客型入力フォーム「chroko(クロコ)」を、【LTV課題】ではCRMをトータルにサポートする「GrowthHack LTV」を提供しています。

小原:一気通貫の事業を手がける事で、クライアントから見て何から導入すれば良いか分かりづらさがある面も否めません。営業戦略はどのようにお考えですか。


鈴木:まず起点となる顧客接点の件数最大化を図ります。国内250万事業者存在するEC事業者は0.1%しかCRMの活用が進んでいませんが、「GrowthHack LTV」ではフリーミアム戦略で急激にユーザーを獲得できています。これは「EFO CUBE」や「chroko」も同様で、特に「EFOCUBE」はカート連携を推進した結果、EFOツールにおいて国内シェア1位です。また、コロナ禍でYoutubeのチャンネル登録~運用~解析まで全て請け負う「GrowthHack Youtube」は非常に伸びています。これらが取引先企業数の増加に大きく貢献しており、食物連鎖でクロスセル提案しARPUを上げていきます。

小原:コロナ禍により、EC事業者だけでなくほぼ全ての業種や業務でDX推進への対応が迫られています。

鈴木:全体最適から考え、市場に足りていないもので当社が十分に貢献できるドメインを見定めて新規事業を立案しています。その解がマーケティング専門のフリーランスを提供する「デジパラ」であり、SaaSツールのコンシェルジュ「kyozon.(キョーゾン)」です。我々自身がマーケティング支援企業でありSaaS事業者でもあるので、事業主の課題を正確に理解でき、かつSaaSツールに対して造詣が深く課題解決に活かせる能力もある点が大きな特徴です。

小原:「kyozon.」はSaaS事業者にとって”見込み顧客獲得プラットフォーム”の側面もあります。


鈴木:「kyozon.」では、①一括資料請求なし、②クライアント側がリードに対して承認・非承認を選択可、③専属コンシェルジュによるコンサルティングの3つを特徴に、SaaS事業者には売上に直結するリードのみ提供します。1領域1事業者で競合なく厳選したSaaSツールを取り揃え、「kyozon.」経由で特別料金も適用されます。また、毎月「ものすごいベンチャー展」という決裁者を対象にしたオンラインイベントも主催しており、DXに課題のある見込み企業を年間15,000社ほど獲得できています。今年3月からは、「kyozon.」で得られたリードの受注率向上のため、インサイドセールス人材の育成支援を行う「みるみる」もローンチ予定です。

小原:「デジパラ」も「kyozon.」も後発ですが、先行するサービスの構造的課題を解消し、真にユーザーライクなものになっていると感じました。


鈴木:いずれも仲介事業であるので顧客から見て費用を超える介在価値がなければ評価されません。「デジパラ」ではミスマッチを防ぐため事業主側とフリーランス側に対して毎月27項目の「今どういう状況か」というヒアリングを行い、その上で競合サービスより遥かにリーズナブルな料金体系です。「kyozon.」においても、支援するSaaSツールの特徴等を表にまとめ定期的にメンテナンスし、コンシェルジュを通じて受注直前までナーチャリングします。自分たちが苦労したこと疑問に感じたことをシンプルに解決するだけです。

小原:これまでの話を踏まえると、ホールディングス制を採って事業ドメイン毎に子会社を置く方が投資家の理解を得られやすいと思います。


鈴木:2013年にツール開発子会社としてGeeeNを設立したことで組織機能が明確になりトップラインが伸びたのですが、上場準備にあたって1社に統合すべきという意見もあり悩ましいところです。上場後は、当社にはない顧客基盤を持つ企業や全体最適の中で必要な機能を持つ企業をM&Aすることも視野に入れており、仰るようにホールディングスが望ましいのではと今は考えています。いずれにせよ、顧客に価値提供し売上成長できる組織体にすることが最重要であることに変わりはありません。

小原:デジタルマーケティングおよびDX支援企業として、課題の発見から解決まで高いレベルでサービスに実装できる稀有な企業だと思います。最後に、上場後に成し遂げたい鈴木社長の想いもお聞かせください。


鈴木:とにかく社会問題を解決しまくりたいですね。また、ここ数年日本からグローバルで勝負できているITツールがないことに危機感を覚えています。これにチャレンジし、海外上場も本気で検討しています。ご指南いただければ幸いです。本日はありがとうございました。

■対談を終えて


小原:デジタルマーケティングを最大活用したいEC事業者、SaaSベンダー等DX関連事業者にとっては非常に魅力のあるプラットフォームを構築、提供されていると思います。今後、さらに発展を加速させるためには類似した同業者もあるなか、子会社を含め貴社のブランディングを充実させることが肝要と思われます。そのための資金調達も検討してみてはいかがでしょうか。


鈴木:有意義なお時間をいただきありがとうございました。長年会社経営をしてきた中で、常にお客様第一で考えており、ビジネス課題を解決する事に注力してきました。直近ではDX課題の社会解決を行い、将来的にはプラットフォーム化をし、SaaS事業者やDX課題を感じている企業様にとって満足度の高いサービスを提供して参ります。

■株式会社AGSコンサルティング 会社概要

代表者  :代表取締役会長 虷澤 力/代表取締役社長 廣渡 嘉秀
スタッフ :400名(公認会計士61名・税理士76名)2019年10月現在
東京本社 :東京都千代田区大手町1-9-5 大手町フィナンシャルシティノースタワー24F
      TEL 03-6803-6710 FAX 03-3510-2800
大阪支社 :大阪府大阪市中央区今橋3-3-13 ニッセイ淀屋橋イースト 5F
      TEL 06-6232-0600 FAX 06-6232-0616
名古屋支社:愛知県名古屋市中村区名駅 4-2-28 名古屋第二埼玉ビル 9F
      TEL 052-533-6695 FAX:052-533-6698
福岡支社 :福岡県福岡市中央区天神1-9-17 福岡天神フコク生命ビル 14F
      TEL 092-737-8211 FAX 092-724-0320
海外拠点 :シンガポール、香港、マレーシア
事業内容 :マネジメントサービス、事業承継支援、企業再生支援
      IPO支援、M&A支援、国際業務支援
URL  :http://www.agsc.co.jp/

※「THE INDEPENDENTS」2021年3月号 - p12-13より
※掲載時点での情報です