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「育休女性×地域企業でDX時代における人と組織の活性化を推進」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
株式会社NOKIOO
代表取締役 小川 健三 氏
生年月日:1977年6月10日 出身高校:浜松北高校
神戸大学発達科学部卒業。グロービス経営大学院MBA (経営学修士) 。Hamamatsu Venture Tribe 発起人・代表者。日本電気(株)にて官庁事業部におけるITシステム営業がキャリアのスタート。30歳手前に地元浜松にUターン。地方都市での働き方やビジネスモデルの旧態に疑問を感じ、当社創業。

株式会社NOKIOO
設 立 :2011年4月5日
所在地 :静岡県浜松市東区和田町919-3
資本金 :25,400千円
事業内容:地方都市の人と組織を活性化させるプラットフォーム事業

<特別対談>これからのIPOスタイル

育休女性×地域企業でDX時代における人と組織の活性化を推進


※11月30日浜松インデペンデンツクラブで小原専務がコメンテータを務めます

★11月30日(月)15時~浜松インデペンデンツクラブの詳細・参加申込(Zoom配信有り)はこちら★


小原:小川社長は東京の大手IT企業で働いた後、浜松にUターンしました。まずは創業の経緯を教えていただけますか。


小川:NECという大きな組織での働き方に疑問を感じ、それに慣れてしまうリスクを感じて地元浜松に戻りました。しかし、ここでの働き方も旧態依然としており、地方で働くとはすなわち新しい働き方やサービスを諦めることと同義なのかと落胆してしまいました。私たち若い世代が時代に合った働き方を体現しなければならないと、30代半ばににして起業しましたが、具体的なプロダクトがあった訳ではなく、創業当初はWeb・IT開発の受託を行いながら自社事業を模索していました。

小原:NOKIOO自身が積極的に女性を登用し組織変革する中で、「地域×女性」の新規事業が生まれました。女性のキャリア支援を行う企業として強い当事者意識を感じます。


小川:自社の採用活動において女性の優秀さを無視できなかった事に起因しています。当社取締役の小田木朝子を中心に、2013年より女性の社会参画支援事業を立ち上げ、子育て期の女性の重要なインサイトも得られました。それは、ただ家計のために働く機会を求めるものではなく、育休を機会にスキルアップしてよりエキサイティングな仕事をしたいという“よりよく働く”という方向への女性の働き方の転換です。一方で、地方の中堅中小企業は生産性向上のためDX/CX導入を課題とし、IT人材を求めています。この2つが重なる部分に大きな事業機会があると考えました。

小原:ビジネスモデルはどのように設計されていますか。


小川:育休女性向け(toC)には、IT活用など生産性向上や育児・仕事の両立、キャリアデザインをオンラインで学ぶ「育休スクラ」を短期コース(3ヶ月)100,000円・標準コース(6ヶ月)200,000円で提供しています。こうした前向きな女性人材を組織変革の起点としたいと考える地域企業向け(toB)には、人材育成・組織開発プログラムや採用マッチング支援を行います。これら人材育成・人材活用・企業活性というバリューサイクルの一連を当社で担い、地方都市圏内で循環するためのプラットフォーム化を目指しています。

小原:育休女性に特化した教育コンテンツの充実度が今後の事業成長の鍵を握ります。教育の成果として活躍する女性が増えブランドとして確立できれば、他地域展開や企業のマーケティング支援などプラットフォームとしての展開も見えてきます。


小川 :「育児をしながら勉強する」を普及する一般社団法人の運営を通し、当事者たちを巻き込み運営側・教える側を育成するということを経験し、それを元に講師の育成にも取り組んでいます。生徒だった人が教える側に回り、自身の経験を還元してくれる。それが多種多様な分野に広がり、掛け算のようにコンテンツの質も進化しています。こういった講師・生徒のコミュニティがコンテンツ制作を支えており、能動的な学びの場づくりの方法論こそが当社のコアなのかもしれません。「育休スクラ」は、母親が子ども以外のテーマで集まれるサードプレイスであるとも捉えています。

小原:小川社長はHamamatsu Venture Tribeの発起人でもあります。2017年発足以来、オープンイノベーションや資金調達など活動成果も生まれてきており、後進の起業家にも影響を与えています。


小川:Hamamatsu Venture Tribeについては大きなミートアップを開催し人と人のつながりを創るという意味では一段落したように思います。最近ではメンバー同士でお互いの事業計画や経営課題について指摘し合う小さな勉強会が増えていますね。育休スクラでも同じことが言えますが、オフラインでよりウェットな関係を築き本音をぶつけ合うコミュニティの価値を再認識しています。

小原:浜松市では、ファンドサポート事業として認定ベンチャーキャピタルと協調し資金を交付する取組みを昨年より開始し、今年度もVC14社が追加認定されています。市内企業にとっては資金調達のチャンスが広がったのではないでしょうか。


小川:より多くの投資家に浜松のベンチャーを注目してもらえる施策で心強く思います。一方で、今年度上期の募集では浜松での事業展開を考える東京の企業も採択されており、負けていられないというのが本音です。いずれにせよ、浜松のベンチャーコミュニティが活性化し切磋琢磨していくことが重要だと考えています。

小原:浜松のようなコンパクトな街では1社の上場でコミュニティの質が一変します。持論ですが、その新規上場企業が組織や事業の成功談・失敗談を地域に分け隔てなくシェアすることができれば、地域のベンチャーコミュニティ活性化は実現できます。小川社長には将来そういう役割を期待されているとも思いますので是非がんばってください。本日はありがとうございました。


■対談を終えて


小原:貴社の特徴を示すKey Wordは『地方・地域・浜松』、『女性(育休女性)・働き方』、『オンライン教育・「育休スクラ」・プラットホーム』です。どれについても一定の時間をかけて着実に事業を企画推進してきたことが理解できました。今後、このコアになっているどれか一つを尖らしたうえで、確実にマネタイズができると、次のステージが見えてくるのではないでしょうか。浜松の成功モデルとして発展されることを期待しております。


小川:対談という貴重な機会をいただきありがとうございました。小原さんから投げられたイシューを考え込む機会になりました。こうしたディスカッションから生まれる論点に解を出していくことで事業計画が研がれていく感覚を持ちます。コミュニティ、人とのつながり、機会を大切にしていきたいと改めて感じる機会であり、小原さんから投げられた問いに向き合うことでまた少し前に進んだ気がします。

■株式会社AGSコンサルティング 会社概要

代表者  :代表取締役会長 虷澤 力/代表取締役社長 廣渡 嘉秀
スタッフ :400名(公認会計士61名・税理士76名)2019年10月現在
東京本社 :東京都千代田区大手町1-9-5 大手町フィナンシャルシティノースタワー24F
      TEL 03-6803-6710 FAX 03-3510-2800
大阪支社 :大阪府大阪市中央区今橋3-3-13 ニッセイ淀屋橋イースト 5F
      TEL 06-6232-0600 FAX 06-6232-0616
名古屋支社:愛知県名古屋市中村区名駅 4-2-28 名古屋第二埼玉ビル 9F
      TEL 052-533-6695 FAX:052-533-6698
福岡支社 :福岡県福岡市中央区天神1-9-17 福岡天神フコク生命ビル 14F
      TEL 092-737-8211 FAX 092-724-0320
海外拠点 :シンガポール、香港、マレーシア
事業内容 :マネジメントサービス、事業承継支援、企業再生支援
      IPO支援、M&A支援、国際業務支援
URL  :http://www.agsc.co.jp/

※「THE INDEPENDENTS」2020年12月号 - p12-13より
※掲載時点での情報です