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「新型コロナで変わるボードゲーム事業の成長戦略」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(右)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
株式会社アークライト
代表取締役 福本 皇祐(左)
生年月日:1959年10月3日 出身高校:金沢桜丘高校
早稲田大学卒業後、1985年、(株)ホビージャパンに入社。営業を担当。1992年(株)ホビージャパンを退社、(株)遊演体に入社後、同社の新規事業部門として神田事務所を設立。1998年2月、新規事業部門を分社化して(株)アークライトを設立。

【株式会社アークライト】
設 立 :1998年2月13日
所在地 :東京都千代田区神田小川町1-2 風雲堂ビル2階
資本金 :50,000千円
事業内容:ボードゲームの制作製造販売、ゲーム書籍の企画制作出版、イベント事業

<特別対談>これからのIPOスタイル

新型コロナで変わるボードゲーム事業の成長戦略


■アナログ的側面が評価されるボードゲーム


小原:お久しぶりです。福本社長に初めてお会いしたのは2年前ですが、ボードゲーム業界は新型コロナウィルスはでどのように影響しましたか?


福本:ちょうど2年前あたりからボードゲームブームが若い人たちの間で始まりました。FACE TO FACEでのコミュニケーションが受け入れられ、昨年の年末年始商戦はかつてない盛り上がりを見せました。私どもの6月決算は最高益が見込めると喜んでいた矢先のコロナは衝撃的でした。

小原:私は飲食業界のコンサルも行っていますが、コロナショックは固定費の重い店舗ビジネスには壊滅的な打撃を与えました。


福本:私どももボードゲーム専門店を33店運営していますが、とにかくリアル店舗にはお客様が来ない。売上も半分以下になりました。

小原:人と人が会うアナログ業態では、三密を避けソーシャルディスタンスを保つ事は難しいですね。海外ボードゲームの輸入販売も行う貴社の販売先であるボードゲームカフェも厳しかったと思います。


■EC化が加速するボードゲーム


福本:ところがボードゲームの企画販売事業はむしろ伸び続けたのです。いわゆる巣篭もり需要で家族みんなが楽しめるボードゲームの在庫が品薄になるくらい絶好調になりました。さすがにリアル店舗の落ち込みは埋めきれませんでしたが、一時期の不安はなくなりました。

小原:Amazon等のeコマース(EC)はこれからも爆発的に伸びるでしょうね。リアル店舗は都市圏に集約化されていきます。ECは自社サイトで運営しているのですか?


福本:Amazonや楽天を通じて行っていますが、現在は自社サイトを構築中です。物流センターも外部パートナーと自社専用に投資していき、機動性を高めていきます。

■オンラインで遊べるアナログゲーム


福本:今年はアナログゲームのイベントが全部中止になってしまいました。8月のアメリカ、10月のドイツでのイベントも中止で開催目途が立ちません。一度に何万人も集まる熱気とそこから見えてくる新作ゲームの方向性はオンラインでは伝わりません。

小原:海外のボードゲーム買い付けは減るでしょうが、オリジナルゲームの開発状況はいかがですか?


福本:オリジナルゲームの開発に注力したことにより、売上が前年対比170%と大きく伸びております。なお、オリジナルではありませんが「ジャスト・ワン」というカードゲームが大ヒットしております。Zoomで5~6人で遊べるのが受けているようです。品薄状態で高く転売され頭が痛いですが秋口に再生産予定です。

小原:インターネットを使った新しいアナログゲームはこれからの主流になるかもしれません。リアルからECへ環境に合わせた進化が企業に求められます。事業計画やIPO戦略も再検討が必要になります。


福本:オンラインセッションへのシフトは止まりません。日本で先行開発していき、オンラインアナログゲームの開発インフラを作っていきたいと思っています。数年先を見据え自信をもってIPO準備に取り組んでいきます。

■対談を終えて


小原:このコロナ禍でボードゲーム業界も業態の転換を余儀なくされましたが、貴社はリアル店舗からECサイトでの販売、ボードゲームでありながら対面ではなくオンラインゲームの開発など素早く「ニューノーマル」に対応されました。状況に対応するこの「機動性」は今後の事業展開においても有用に機能するでしょう。ECサイトの拡充や「物流」については、M&Aなども検討し、企業価値を高めながらIPO準備を着実に進めて下さい。


福本:4~5月のコロナウィルスの影響で事業の先行きが見えない状況下では、IPOという目標は見えなくなっておりましたが、自社が取り組んでいた商品カテゴリーの強さのおかげで、ここに来て先を見据えることが出来るようになってきました。再度コロナウィルスの悪影響も出だしておりますが、負けることなく未来に向かって取り組んで行きたく思いますので、変わらぬご指導、ご鞭撻よろしくお願い致します。

■株式会社AGSコンサルティング 会社概要

代表者  :代表取締役会長 虷澤 力/代表取締役社長 廣渡 嘉秀
スタッフ :400名(公認会計士61名・税理士76名)2019年10月現在
東京本社 :東京都千代田区大手町1-9-5 大手町フィナンシャルシティノースタワー24F
      TEL 03-6803-6710 FAX 03-3510-2800
大阪支社 :大阪府大阪市中央区今橋3-3-13 ニッセイ淀屋橋イースト 5F
      TEL 06-6232-0600 FAX 06-6232-0616
名古屋支社:愛知県名古屋市中村区名駅 4-2-28 名古屋第二埼玉ビル 9F
      TEL 052-533-6695 FAX:052-533-6698
福岡支社 :福岡県福岡市中央区天神1-9-17 福岡天神フコク生命ビル 14F
      TEL 092-737-8211 FAX 092-724-0320
海外拠点 :シンガポール、香港、マレーシア
事業内容 :マネジメントサービス、事業承継支援、企業再生支援
      IPO支援、M&A支援、国際業務支援
URL  :http://www.agsc.co.jp/

※「THE INDEPENDENTS」2020年8月号 - p12-13より
※掲載時点での情報です