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「リツイートの著作権侵害該当性」

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弁護士法人 内田・鮫島法律事務所
弁護士/弁理士 高橋 正憲 氏

2004年北海道大学大学院工学研究科量子物理工学専攻修了後、(株)日立製作所入社、知的財産権本部配属。2007年弁理士試験合格。2012年北海道大学法科大学院修了。2013年司法試験合格。2015年1月より現職。

【弁護士法人 内田・鮫島法律事務所】
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TEL:03-5561-8550(代表)
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取扱法律分野:知財・技術を中心とする法律事務(契約・訴訟)/破産申立、企業再生などの企業法務/瑕疵担保責任、製造物責任、会社法、労務など、製造業に生起する一般法律業務
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知財高裁平成30年4月25日判決(平成28年(ネ)10101号)


 今回は、リツイートの著作権侵害の該当性を判断した事例を紹介します。

1 事案*

本件は、本件写真の著作権を有するXが、「ツイッター」において、①氏名不詳者により無断でアカウントのプロフィール画像として本件写真を用いられ、その後当該アカウントのタイムライン及びツイート(投稿)にも表示等されたこと、②氏名不詳者らにより無断で上記①のツイートのリツイートがされ、当該氏名不詳者らのアカウントのタイムラインに表示されたことにより、Xの本件写真についての著作権及び著作者人格権が侵害されたと主張して、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき、上記行為のそれぞれについて、発信者情報の開示を求めた事案です。
 1審判決は、①の発信者情報開示のみ認め、②のリツイートの発信者情報開示は認めませんでした。そこで、控訴されたのが本件です。
*本件は、他にも争点がありますが、紙面の都合上一部分のみ紹介しています。

写真

2 知財高裁の判断

 知財高裁は、リツイート行為は、公衆送信権侵害、複製権侵害、及び公衆伝達権侵害には該当しないと判断しました。
 他方、同一性保持権については、「・・・表示される画像は、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものとして、著作権法2条1項1号にいう著作物ということができるところ、上記のとおり、表示するに際して、HTMLプログラムやCSSプログラム等により、位置や大きさなどを指定されたために、本件アカウント3~5のタイムラインにおいて表示されている画像は流通目録3~5のような画像となったものと認められるから、本件リツイート者らによって改変されたもので、同一性保持権が侵害されているということができる。」として,同一性保持権侵害を肯定しました。
 また、氏名表示権については、同一性保持権と同様に、「本件リツイート行為により、著作物の公衆への提供又は提示に際し、著作者名を表示する権利を侵害されたということができる。」として、氏名表示権侵害を肯定しました。

3 本裁判例から学ぶこと

 企業活動として、営業・宣伝広告などに,ツイッター等のSNSを利用する機会が増えています。その際、従前より、ツイート行為自体が著作権侵害にならないように留意することは注意喚起されていました。
 本件判決によると、リツイート行為も著作者人格権侵害(同一性保持権・氏名表示権)となりうる可能性が示唆されましたので、さらなる注意が必要です。
 また、下級審の判断ではありますが、リツイート自体が名誉棄損に該当しうると判示した裁判例も存在します(東京地方裁判所平成27年11月25日判決(事件番号:平成26年(ワ)第25111号))。
 企業でのSNSを利用には、リツイートも含め社内ルールを整備する等して、他社の権利に配慮することが必要となるでしょう。

※「THE INDEPENDENTS」2020年7月号 - P16より
※掲載時点での情報です