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「M&Aを通じて、ものづくり企業のマネジメント改革を進める」

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【髙村 徳康 氏 略歴】
生年月日:1968年2月22日 出身高校:愛知県千種高校
名古屋大学経済学部経営学科卒業。岡三証券を経て、公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツに入社。地元企業との広範なビジネスアライアンスを企画し、1999年には監査法人トーマツ・UFJ総合研究所・東海テレビ・中日新聞(当時)の4社から成るベンチャー支援機関「東海ビジネスドットコム」の設立・運営に関与し、初代現場責任者に就任。1000件以上のアライアンスを実施。2006年に独立後、当社設立、代表取締役就任。2015年6月より当社代表取締役会長。

【セレンディップ・コンサルティング株式会社】
設 立 :2006年12月
資本金 :570,000千円
所在地 :愛知県名古屋市中区栄2-11-7伏見大島ビル8F
事業内容:経営受託及び事業再生、プリンシパル投資事業、経営コンサルティング(経営者派遣)
従業員数:グループ約500名



<起業家インタビュー>

M&Aを通じて、ものづくり企業のマネジメント改革を進める


中小企業の事業承継をサポートし、
「経営の近代化」を推進する起業家


■貴社において 「コンサルティング」と「製造業運営」 は欠くことの出来ない本業です。

 私どもは、2006年から株式上場・組織再編・M&A・事業再生支援、といったコンサルティングを行って参りましたが、2014年にオーナー経営者から事業を譲り受けて以来、複数の製造業の経営も行っています。 こうした“ものづくり企業”の経営を通じて「コンサルティングとものづくりの融合」が私どもの掛け声となり、現在は東海地方の5社をグループ化し、年商は約200億円になります。株式譲受の資金は、ファンド資金ではなく、自己資本と借入(LBO)によって調達しています。

■これまでに9社のM&Aを行い、黒字化に成功しました。

 量産型ものづくり企業で重視されている機械の可動率(べきどうりつ)、製品の不良率、副資材(工具や工作機械のメンテナンス・修理・操業に必要な備品や消耗品)を科学的にコントロールすることで、製造業の黒字化を達成しています。量産型のものづくり企業が多い東海地域でも高く評価されており、最近では相談の数も増えています。

■中小製造業では「経営の近代化」が課題です。

 当社の考える「経営の近代化」とは、経営の見える化、効率化、成長戦略とステップを踏むことにより、地に足の着いた堅実な経営を実施する事です。株式取得後のPMI*が全て成功しているのは、従来のカリスマ経営から脱却し、プロパーの役職員を巻き込んだチーム経営を実現し、プロジェクト・マネジメントにより、徹底した見える化と事業運営の効率化を行うことで経営の標準化を進めてきたからに他なりません。これらを実現するために、当社から常駐の経営者(CEO・CFO)と非常駐のプロフェッショナルの派遣を行っています。(*Post Merger Integration、M&Aによる統合効果を確実にするために、初期段階より統合阻害要因等に対し事前検証を行い、統合後にそれを反映させた組織統合マネジメントを推進すること)

■派遣したプロ経営者は具体的にどのような支援を行うのですか。

 企業を譲り受けたDay1から、当社社員のCFOと主に外部から招聘したCEOを中心に半年~1年をかけて経営・財務・現場の見える化を徹底的に行います。同時に、プロパーの幹部候補生も含めた経営会議を組成、経営課題を全て洗い出し、それを責任者と担当者、期限を決めたプロジェクトに落とし込み運用する「プロジェクト・マネジメント」を実行します。こうした外部招聘のプロ経営者が経営の近代化を進める間に、内部の有能な人材を発掘・育成し(タレント・マネジメント)、将来的には内部昇格で次世代経営者を育成することを目指しています。

■髙村さんは前職の2000年11月にベンチャー支援組織「東海ビジネスドットコム」を立ち上げました。

 私の原点は「困っているベンチャー・中小企業経営者を支援し、成長を推進したい」です。有限責任監査法人トーマツに在籍していた当時に「東海ビジネスドットコム」の初代現場責任者を務めました。以来、中部地方の1,600社を超える中小・ベンチャー企業と大企業の資本業務提携やビジネスマッチングを成約させ、その結果東海ビジネスドットコムは経済産業大臣賞(起業家支援部門)とニュービジネス協議会会長賞を受賞しました。その後2006年に独立し、コンサルティング事業と中部地方において初の独立系ベンチャー・キャピタル事業を始めました。

■2014年からは第二創業で「地域密着型の事業承継プラットフォーム」を構築しています。

 2013年頃、中小製造業において人材獲得や事業承継がネックで廃業する企業が相次いでいる事を知り、定期的に100社規模の製造業社長勉強会を始め、製造業のネットワーキング活動を開始しました。事業承継に注目したきっかけは2014年に銀行の紹介で当社自身が静岡県のパン屋チェーン(株)バンデロールを買収したことです。同社は相当の赤字を抱えていましたが、この時からプロ経営者として参画してくれた旧知の竹内在(現、当社代表取締役社長)と共に、結果として9ヶ月で黒字化が完了し、11ヶ月目に大企業に譲渡しました。これをきっかけに、私と竹内は事業承継に悩みを抱える企業を譲り受け、中長期の視点で経営そのものを行うようになりました。以来、9社を譲り受け、経営してきました。また、折角グループになったのだから、「ヨコ串」機能を発揮できるよう企画しました。例えば、経理や給与計算だけでなくITや原価計算、法務や労務など、バックオフィス機能はセレンディップがシェアードサービスとして受け、グループ各社は製造に特化して頂きます。また、R&Dや産学連携もセレンディップが開拓し、グループ各社に提供したり、逆に各社で活用している良いものをグループ内に展開したりしています。更に最近では、グループ採用やインターンシップも開始し、優秀な学生を本部で採用して各社に配置したり、将来はジョブローテーション制度も検討しています。プラットフォームのこのようなヨコ串機能により、各社の生産性向上を図り、グループ全体での資産効率や利益率アップを目指しています。

■「100年企業の創造を目指す」というビジョンについて教えてください。

 残念ながら日本にはプロ経営者が少なく、その人材を活かす転職市場や環境も少ないのが現状です。常駐の経営者(CEO・CFO)を派遣し泥臭く企業経営に携わることで、一人でも多くのプロ経営者を輩出し、一社でも多くの企業を存続させたいと願っています。同時に、ものづくり(ハード)とエンジニアリング(ソフト)が融合するグループをつくり、メーカーの先行開発からものづくりに参加することでR&Dを徹底的に強化したいです。更には、AIによる画像検査工程の自動化、IoTツールによる生産工程の見える化・データ化を進める等、最先端の技術やITも取り入れ、開発から量産まで一貫して出来る強いものづくりグループを目指します。その結果、先輩経営者の方々が半世紀あまり経営されて来られた企業の次の50年を我々が担い、100年企業を沢山輩出したいと願っています。将来は当社自身の上場も視野に入れながら、世界で通用する最強の和製ものづくり企業集団を目指していきたいと思います。

(2019.8.6 文責:大森)
※2019年9月号掲載時点での情報です