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「データの無意味化による、“守らない”セキュリティを実現」

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【國井 晋平 氏 略歴】
1960年生まれ。
東京工業大学卒業後、㈱東芝入社。PCなどハードウェアの設計開発や商品企画に従事。2017年当社にCTOとして参画。2019年3月代表取締役就任(現任)。

【株式会社ZenmuTech】
設 立 :2014年3月4日
資本金 :100,000千円
所在地 :東京都品川区西五反田2-8-1 五反田ファーストビル 4F
事業内容:秘密分散技術を用いたセキュリティソリューションの開発販売
従業員数:17名



データの無意味化による、“守らない”セキュリティを実現


■秘密分散技術を活用した新しい情報セキュリティ

 当社技術「ZENMU」では、秘密分散技術の中でも、AONT(All Or Nothing Transform)方式を採用し、データを無意味化された分散片に変換することで、1つでは読み取り不可能にし、全てが揃わなければ復元できない状態にします。情報漏洩を防ぐのではなく盗まれても実害がないという新しい概念で、従来の暗号化方式では実現できなかった高セキュリティなソリューションを実現します。

■「ZENMU」技術を活用したプロダクト群

 2019年6月にリリースした『ZENMU Virtual Desktop』は、秘密分散技術「ZENMU」をベースに、データの一片をクラウドに、もう一片をローカルディスクに分散保管し、利用時のみPC上で復元するデータ分散型仮想デスクトップソリューションです。強固なセキュリティはもちろん、通信負荷を軽減する設計で動作はスムーズ、かつ通常のドライブ操作で運用可能で、業務用PCを安全・快適に外部持出しすることができます。また、スマホやUSBデバイスとの連携で、オフライン環境でも利用可能です。
 この他、データ送受信を行う『ZENMU for Delivery』や社内情報システム向けの『ZENMU for Meister』、『ZENMU Engine』としてSDKの提供も行っており、幅広い分野への導入を進めています。

■秘匿計算技術の実用化を目指す

 2018年10月から、産業技術総合研究所と共同でデータを無意味化したまま情報処理を行う秘匿計算技術の研究を進めています。暗号化や秘密分散技術では、情報処理を行う際に元データに復号する必要があるため情報漏洩のリスクがありましたが、秘匿計算はデータを復号することなく処理が可能であり、入力から出力まで一貫して情報を守ることができます。医療データから診療の効果を測定する、複数企業の取引データから統計データを算出するといった場面での利用が期待されています。秘匿計算の実証実験を行う提携先獲得を進めつつ、汎用的に利用可能な秘匿計算技術ソリューションとしていち早く社会に提供することを目指します。

※2019年8月号掲載時点での情報です