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「遠隔集中治療支援システムでより多くの重症患者を救う」

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【中西 智之 氏 略歴】
生年月日:1976年4月10日 出身高校:大阪教育大学附属高等学校池田校舎
2001年京都府立医科大学医学部卒業後、横浜市立大学麻酔科、武蔵野赤十字病院救急救命センター等を経て2016年当社設立、代表取締役社長就任。日本集中治療医学会専門医。

【株式会社T-ICU】
設 立 :2016年10月13日
資本金 :30,000千円
所在地 :兵庫県芦屋市大桝町3-13
事業内容:集中治療支援・医療情報提供サービス・医療コンサルティング等
従業員数:5名


遠隔集中治療支援システムでより多くの重症患者を救う



■日本国内における集中治療専門医の不足

 救急搬送後応急処置が行われ容体が一旦安定した患者や、大手術を受けた後の患者など重症患者の予後を管理する集中治療室は、全国に約1,100(※1)あります。しかし、日本の集中治療専門医は約1,600人(医師全体の0.5%)と非常に少なく、800室には専門医が在籍していない現状です。そのため、専門医ではない医師が集中治療の診療に関わらざるを得ない状況となっています。(※1 総務省統計局 2014年 医療施設(静態・動態)調査より)

■遠隔集中治療支援システム『T-ICU』

 私たちは、集中治療専門医がチームとなって遠隔から24時間体制で心電図やX線データなどの生体情報を監視し、早期に的確な治療方針を提案することにより、重症患者を急変させることなく予後の改善をサポートします。集中治療に知見のある医師22名・看護師8名のネットワークを構築しており、ビデオ会議システムを通して24時間いつでもアドバイスを受けられます。遠隔医療システムを提供している企業は他にもありますが、専門医師ネットワークによる治療提案までを行っている企業は他にありません。

■千葉県・柏の葉病院での導入事例

 2018年6月から医療法人社団康喜会 辻仲病院柏の葉に重症患者管理の遠隔支援を提供しています。同院では年間250件超の消化器外科手術を行っており、術後の患者の重症化の予防や、重症化した場合の改善措置に課題を抱えていました。専門外の集中治療をT-ICUに任せるようになったことで、医師や看護師の身体的・精神的な負担軽減に繋がっています。さらにシステムの提供に留まらず、定期的に勉強会を開催するなど集中医療に対する知識・理解を深めてもらうことで、患者へのより良い医療提供に貢献しています。今後、導入施設の拡大を進めていく中で、医療の地域格差を緩和し、より多くの重症患者様を救うことを目指しています。


※2019年7月号掲載時点での情報です