「子どもから高齢者まで、誰もが安心して暮らせる“スマート見守りシティ”をつくる」
=$DATE?> 公開
<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真左)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)
<話し手>
株式会社otta
代表取締役社長 山本 文和 氏(写真右)
1977年12月山口県生まれ。広島日本電気(株)で半導体ロボットエンジニアとしてキャリアを開始。その後、業務システムのプログラマー・SE、スマホアプリ開発ディレクターを歴任し、組み込み機器からサーバー/クライアントサイドまで、IoTシステム構築に関わる全ての開発を経験。自分の子どもを守りたいという思いから、日本初のBLE/ビーコンを活用したIoT見守りサービスを提供する当社を設立、代表取締役社長就任。
【株式会社otta】
設 立 :2014年10月24日
資本金 :188,700千円
本 社 :福岡県福岡市中央区天神3-10-1 天神源氏ビル301
事業内容:スマート見守りサービスの開発・運営
URL :https://otta.co.jp/
<特別対談>これからのIPOスタイル
子どもから高齢者まで、誰もが安心して暮らせる“スマート見守りシティ”をつくる
■IoTを活用した『otta見守りサービス』
山本:当社は子供や高齢者の位置情報履歴を家族のスマホアプリやメールにお伝えする『otta見守りサービス』の開発・運営を行っています。Bluetooth通信が可能なビーコン端末をつけるだけで、学校や公園、通学路などに整備された検知ポイントを通過した際や、専用アプリをインストールしたスマートフォンを持っている人(見守り人)とすれ違った際に位置が記録されるシステムです。小原:見守りサービス事業を始めたきっかけを教えてください。
山本:私自身が子供にこのサービスを使いたい、世の中に広めていきたいという想いから、2014年に当社を設立しました。いかに沢山の人に使ってもらうかということを第一に考え、端末の機能は居場所の通知というシンプルな機能に絞っています。
小原:近年様々な企業が見守りサービスに参入していますが、貴社のサービスのポイントは月額費用が480円という低価格で、端末も小型で電池寿命が1年以上あるため、気軽に導入できる点にあると思います。
山本:加入から2か月目までのトライアル期間は無料で、以降は有料になるモデルを取っています。大阪・箕面市では、無料サービス利用率約80%、有料サービス利用率約42%という高い利用率を実現しています。
■電力会社へのOEM提供によるスピーディーな拡散
小原:2016年の箕面市での11,000人規模の実証実験を皮切りに、福岡市や世田谷区、渋谷区など全国の小学校区での導入が進んでいます。山本:問い合わせが増加する中で、今後も社内で開発から提供まで全てを賄いながらスケールしていくのは難しいと感じ、OEM提供を開始しました。見守り用端末の費用は電力会社が負担し、自治体を通して住民に配布します。有料サービスの売上を彼らと当社で折半するビジネスモデルです。
小原:貴社はソフトウェアの開発とクラウドサービスのみ行い、ハードウエアの製造や販売などは提携先に任せることで、自社のリスクを下げつつ普及スピードを加速させています。売上は多少減るかもしれませんが、リソースの少ないベンチャー企業として正しい選択だと思います。
山本:同じインフラを使ってできる領域は見守りサービス以外にもたくさんあると思うので、事業会社との提携によって新たな分野にも挑戦していきます。
小原:今後、全国の自治体や事業会社等と連携を広めていくと思いますが、貴社が全ての営業を行うのは負担が大きいと思います。総代理店となる会社と提携するか、社内の営業部隊のみを子会社化することも検討してみてください。
山本:代理店モデルは視野に入れています。その際はOEMだけでなくottaブランドで営業してもらうことも考えています。
■株式上場に向けて
山本:今後3年間で国内シェア2~3割を目指し、ランドマークとなるような大きな自治体との連携を進めていきます。有料移行率が約40%なので、児童数8万5000人の福岡市で導入されるだけでも3万人の有料ユーザーを獲得できる見込みがあります。小原:数十万人規模での導入が進めば上場も見えてくるのではないでしょうか。
山本:近年中に、上場を視野に入れた準備を始める計画です。
小原:規模が拡大する前からいくつかの監査法人や証券会社と接触して、客観的な意見や情報を収集することが上場への近道になります。組織的な課題は見えていますか。
山本:現在の従業員は6人で、運営体制が事業の拡大に追い付かない状況です。上場時には50人弱程度の組織体制を想定しているので、人材獲得が課題です。
小原:早いうちに将来的な組織のイメージを固めつつ、評価制度などの準備を進めることで上場時の内部統制がスムーズに進むと思います。是非上場を目指して頑張ってください。本日はありがとうございました。
※「THE INDEPENDENTS」2019年5月号 - p24-25より
※掲載時点での情報です