「IPアドレスに紐づく情報を活用し、地方企業の活性化に貢献」
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<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真左)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)
<話し手>
株式会社Geolocation Technology
代表取締役山本 敬介 氏(写真右)
1974年静岡県生まれ。沼津高等学校出身。陸上自衛隊基地通信隊に勤務の後、静岡インターネット(株)に約4年間勤務。2000年2月、サイバーエリアリサーチ(株)設立。2017年4月、(株)Geolocation Technologyに社名変更。
【株式会社Geolocation Technology】
設 立 :2000年2月21日
資本金 :100,000千円
本 社 :静岡県三島市一番町18-22 アーサーファーストビル4F
事業内容:IP Geolocation事業、Ad Tech事業、IPアドレス移転事業
URL :https://www.geolocation.co.jp/
<特別対談>これからのIPOスタイル
IPアドレスに紐づく情報を活用し、地方企業の活性化に貢献
■IPアドレスを手掛かりに100種類以上の情報を判定するIP Geolocation技術
小原:貴社はIPアドレスから位置情報を特定するIP Geolocation技術を強みとして、エリアターゲティングなどのアドテクノロジーや、企業の個人情報流出や機密情報流出の原因となるサイバー攻撃の侵入経路調査や発信元調査に活用しています。IPアドレスから100以上の情報を得ることができるというのには驚きました。山本:当社のサービスの基盤になっているのが43億個のIPアドレスを網羅し、位置情報・企業情報・脅威情報などを紐づけたデータベース『SURFPOINT』です。現在は『SURFPOINT』のデータをAPIとして提供し、顧客側のシステムに組み込む連携パートナーと、エンドユーザーである中小企業の2種類の顧客を中心に取引を行っています。
小原:最近はセキュリティ関係での利用にも注目が集まっています。
山本:2017年に犯罪収益移転防止法が改正され、金融機関はマネーロンダリングやテロリズムに対する資金供与を防止するため取引に先立って顧客の本人確認を行うことが義務付けられました。この本人確認の手段としてIPアドレスが活用されており、特に証券会社からのニーズが高まっています。
■陸上自衛隊の通信隊員から起業
小原:山本さんは高校卒業後、陸上自衛隊の通信隊員として勤務し、黎明期のIT業界で起業されました。山本:Windows 95がリリースされ、初めてインターネットに触れた際に自衛隊のネットワークとは異なる新規性にすっかり魅了されました。地元のプロバイダである静岡インターネット(株)での技術営業を経て当社を設立しました。
小原:なぜIP Geolocation技術にたどり着き、独立して起業しようと思ったのですか。
山本:技術営業の際に県庁や地元のラジオ局から「県民の割合を教えてほしい」「地域でバナーを切り替えたい」という要望をいただいたことがきっかけで、特定の地域や業種、業界へのターゲティングができれば、地方の中小企業もインターネットをビジネスに活用できるのではないかと考えたからです。
■地方の中小・ベンチャー企業へのアプローチ
小原:地方には未だに折り込みチラシでの集客しか行っていない中小企業が存在します。デジタルデバイドのある地方の中小企業に対する営業戦略が事業拡大の肝になりそうですね。山本:現在は地方企業をターゲットとして各地でセミナーを開催し、見込み顧客を集めた後に個別の営業を行っています。最近はほとんどの人がインターネット広告でターゲティングを受けた経験があるので、自らターゲティングマーケティングを活用できると説明すると、関心を持ってくださる方が多いです。
小原:セミナーを継続的に開催し、認知度を上げることはもちろんですが、各地の有力企業とアライアンスが組めればより効率よく拡大できると思います。IT系だけでなく、地元のスーパーチェーンや小売店など強い影響力を持つ企業との協業も検討してみてください。
■上場後の事業拡大に向けて
山本:近年中のマザーズ上場を計画しており、準備を進めている最中です。上場後はAIやディープラーニングをシステムに組み込むため技術開発を進めていきます。小原:技術開発や知財の保護は上場後も企業価値を大きく左右する永遠のテーマとなると思います。開発にめどが立った後は人数よりも発想力や企画力のある人材の確保が重要になってきますから、優秀なエンジニアの獲得やM&Aも視野に入れるべきだと思います。
山本:創業時の特許取得から20年経つので、開発と並行して改良特許の取得などの知財保護にも注力していきたいと考えています。
小原:今がまさに勝負の時期ですね。上場、そしてその後の事業拡大に期待しています。本日はありがとうございました。
*対談後のコメント
小原:「IPアドレス」から『SURFPOINT』を構築し、APIとしてのビジネス、エンドユーザー向けのビジネスを展開している貴社は、まさに上場をし「信用と認知度を得たところ」で、さらに大きく発展できる可能性を持った会社です。しかしながら、上場までは、着実な営業と確実な上場準備を進めることに専念して下さい。期待しております。石井:小原さんから地方のお客様開拓にあたって二つのアドバイスを頂きました。1つ目は同じ地域で30回はセミナーを開催すること。2つめは各地の有力企業とのアライアンス。今年は西日本エリアの主要都市(名古屋、大阪、神戸、岡山、広島、福岡、那覇)を巡る予定としていますので、途切れずにセミナーを開催したいと思います。また本誌をお読みの各地域の方で当社とのアライアンスに興味のある方はぜひお声がけいただければと思います。
※「THE INDEPENDENTS」2019年2月号 - p22-23より
※掲載時点での情報です