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「理数ITを最先端のカリキュラムで学び、国際競争力のある人材を育てる」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真左)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
株式会社ヴィリング
代表取締役中村 一彰 氏(写真右)
1978年生まれ。帝京高校出身。2001年埼玉大学教育学部卒業後、(株)ゴールドクレスト入社。2005年(株)エス・エム・エス入社、新規事業、人事等に従事。2012年当社設立。時代に合った教育への改革を志し、民間教育/公教育の両面から実践に取り組む。

【株式会社ヴィリング】
設 立 :2012年10月10日
資本金 :20,000千円
本 社 :東京都杉並区天沼2-4-1 井上ビル3号館2階
事業内容:STEM教育スクールの運営・FC展開、学童保育、探求型学習スクールの運営 
URL :http://www.viling.co.jp/

<特別対談>これからのIPOスタイル

理数ITを最先端のカリキュラムで学び、国際競争力のある人材を育てる




■STEM教育事業を通して公教育を補完

小原:近年、創造力や挑戦する力が重視される社会へと変化しており、2020年にはプログラミング教育が小学校の学習指導要領に組み込まれるなど教育の形も変わってきています。しかし、公教育では依然として知識の詰込み型の教育が行われています。
中村:小学校は教育委員会や保護者などステークホルダーが多いこともあり、内側から変革することは容易ではない現状があります。NPOは継続して社会的なインパクトを出すのが難しいです。だからこそ私たちは株式会社という枠組みで公教育に足りない部分を補うプログラムを展開しています。STEM(Science、Technology、Economy、Mathematics)教育は理数系に特化した米国発の新しい教育です。当社の展開するSTEM教育スクール『STEMON(ステモン)』は、小学校低学年の子供を中心にプログラミング基礎や物理を学ぶスクールです。子供たちはブロック教材を用いてものの仕組みを学びつつ、型にはまらない自由な発想を身に着けることができます。
小原:学ぶべき内容、学び方の双方の変化に沿った教育として2017年に40億円程度だった市場規模は2023年には300億円超に拡大するともいわれており、これからの事業拡大に期待できますね。

■(株)エス・エム・エスで学んだ精神

小原:(株)エス・エム・エス(東1:2175)はケアマネージャーの人材紹介から事業をスタートし、web、人材、コンサル、スクールなど多岐にわたるサービス展開で高齢社会にとっての情報インフラとなることを志向する企業です。近年様々なエス・エム・エス出身者がベンチャーの世界で活躍しています。中村さんご自身は前職での経験からどんな影響を受けていると感じますか。
中村:理念とビジョンを明確にし、組織の基礎をつくる重要性を学んだことは今の経営においても役立っています。「夢中があふれる社会をつくる」という理念を社内で共有できているからこそ、企業としての方向性を確立できていると感じています。
小原:最近は理念やビジョンの確立ができていないまま勢いで上場してしまう会社が多いですが、(株)エス・エム・エスのような企業文化が確立されている企業での経験は貴重な財産になっていると思います。

■ヴィジョンと戦略

小原:急速に市場が拡大し競合が増えている中で、他社との差別化が戦略の鍵となります。
中村:国内市場においては、2017年から学習塾を対象としたフランチャイズ展開を開始しています。独自に開発したカリキュラムと主婦や学生でも対応可能な講師育成マニュアルをパッケージ化して提供し、他社に先行して一気に教室数を増やしています。さらに対象年齢の拡大を進めており、中学受験向け学習塾と競合しない低年齢層へのアプローチを検討しています。
小原:幼児の方が教育としても高い効果が出ると思います。高い年齢へのアプローチを考えるなら、中学や高校などの教育機関を立ち上げ、自ら構築した教育システムの中で優秀な人材を育てるのはいかがでしょうか。将来そこから起業家が排出されていく未来も想像できます。

小原:STEM教育の拡大の先に目指すビジョンは何ですか。
中村:2025年をめどに「賢さを再定義する」というビジョンを実現することです。知識を身につけることによって評価される従来の賢さに加えて創造力や表現力、挑戦する心なども含めて「賢さ」と言えるように、日本の教育の定義そのものを変えていきたいと考えています。
小原:その高い志をもっとアピールすべきだと思います。教育に対して問題意識を持っている他の企業とのアライアンスも進むのではないでしょうか。日本の市場だけの展開では教育の変革に至るのは難しいかもしれないので、世界に進出して海外で評価されてから日本に戻ってくる戦略も検討してみてください。
中村:営業体制やブランディングの強化によってこの2年でSTEM教育市場のトップブランドを確立し、5年後のIPOを目指します。
小原:上場企業には決算や管理会計の正確さが求められます。IPOを合理的に進めるためにも、管理系の仕組みを整えていく必要があります。一度監査法人に相談してみてください。貴社の教育事業が日本の教育に革命をもたらすことに期待しています。本日はありがとうございました。



※「THE INDEPENDENTS」2018年11月号 - p18-19より