アイキャッチ

「調理ロボティクスで外食産業に革命を」

公開

<話し手>
(株)モリロボ 代表取締役 森 啓史 さん(左)
1977年生まれ。佐賀北高校出身。2003年芝浦工業大学卒業後、スズキ(株)入社。2017年7月当社設立、代表取締役就任。

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 石橋 茂さん(右)
1966年生まれ。群馬県立太田高等学校出身。1989年東京大学工学部物理工学科卒業。1991年 同大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了。1991年(株)東芝入社、ULSI研究所配属。2008年(株)東芝知的財産部(半導体部門)異動(会社分割後、東芝メモリ知財部)、司法試験合格。2018年弁護士法人内田・鮫島法律事務所入所。

内田・鮫島法律事務所知財インタビュー

調理ロボティクスで外食産業に革命を


自動でクレープ生地が焼けるロボット『Q』


■クレープ生地焼きロボット『Q』

森:当社ではクレープ生地焼きロボット『Q』の開発を中心に事業を展開しています。これまでにもクレープ生地を焼くロボットはありましたが、小さいサイズしか焼くことができなかったり、オペレーター人員が必要だったりという課題がありました。

石橋:貴社のロボットの導入でクレープ事業者における省人化に貢献できるだけでなく、他の飲食事業者が新たにクレープをメニューとして取り入れたいニーズにも対応できますね。

森:実際にクレープ販売店のほか、ホテル等のバイキングでの実証実験が始まっています。自社で工場を持たずに企画開発のみを行い、機械の製造・販売は外注していきます。

石橋:米国でピザ調理ロボットを開発するベンチャー企業が50億円超の資金調達に成功するなど、近年食品ロボットを用いた業務効率化に注目が集まっています。クレープロボットの開発に至ったきっかけを教えてください。

森:前職のスズキ(株)では生産技術部門で自動車工場の省人化や生産性向上について叩き込まれました。スズキで培った業務効率化のノウハウを活かしたいという想いで、学生時代にクレープ屋でアルバイトをしていた経験からクレープロボットの開発に着手しました。

■グローバル展開に向けた特許戦略

石橋:国内の事業拡大と並行して海外展開を検討されています。

森:南インドの主食であるドーサ(米粉を水で溶いた生地をクレープ状に薄く延ばして焼いたもの)向けのロボットの開発を進めています。海外では現地の管理会社を通したロボットのレンタルによる展開を検討しています。

石橋:中国や南米、中東などでもクレープ状の食品が主食として普及しているため、インド以外の国への進出にも期待できますね。

森:クレープロボット『Q』については国内で基本特許を取得していますが、本格的な海外展開に向けて国際特許も重要になりますよね。

石橋:日本での出願から1年が経過しているので全く同じ内容で国際出願することはできませんが、例えば現状の不具合に対する改良点をカバーする内容の特許を新たに申請し、その際にPCT出願を行うことで加盟国全てに同時に出願したことと同じ効果があるので、ある程度の知財保護になると思います。

森:今後開発を進めていくクレープロボットの改良品やドーサロボットは世界展開を見据えた特許取得を進めていきます。

石橋:PCT出願には各国移行の期限が2年半あります。将来進出する可能性のある地域全てに申請すると莫大な費用が掛かってしまうので、その間に事業の方向性を確立し、地域を限定してからでも遅くないと思います。


■外食産業全体のコスト削減に挑戦

森:当面は国内でのクレープロボットの普及によって開発力の実績を確立させつつ、南インド向けドーサロボットを中心とした海外展開にも注力していきます。将来的にはロボットだけでなくツールの導入やレイアウト・手順の変更など様々な方法で業務効率化を促進する、総合的なコンサルティングを展開します。ロボットを主体として考えるのではなく、人が人ならではの能力を発揮できる環境の提案を通して外食業界全体の生産性向上に貢献していきたいです。

石橋:コンサルティング事業においては森さんご自身がスズキ(株)で得た生産効率化の知識・ノウハウこそが財産です。今後大企業からの引き合いも増えてくると思いますが、契約締結時には知財法務的な観点が重要になりますので、是非ご相談いただければと思います。本日はありがとうございました。



(2018.10.1)


―「THE INDEPENDENTS」2018年11月号 P21-22より