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「尽生経営(じんせいけいえい)」

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株式会社ティア
代表取締役 冨安 徳久さん

1960年愛知県宝飯郡(現・豊川市)生まれ。1979年愛知県立豊丘高等学校卒業後、西日本セレモニー山口典礼山口支店入社。1982年株式会社出雲殿入社。1994年有限会社名古屋丸八互助会入社。1997年株式会社ティア設立、代表取締役就任。2006年名証セントレックス上場(2485)。2008年名証2部に市場変更。

設 立 :1997年7月 本社:愛知県名古屋市北区黒川本通3-35-1
従業員数:257名(2012年9月末現在) 年商:8,355百万円(2012年9月期 実績)
http://www.tear.co.jp/

30歳の頃から独立したいと考えるようになりました。それはなぜか。葬儀社のほとんどが一族経営で不透明極まりない業界であり、お客様の目線に立っていないと感じたからです。25歳で店長になり、そのあまりの暴利に愕然としました。決定的だったのは、勤めていた互助会で「生活保護者は相手にするな」という方針がでたこと。持っている資産、遺族の人数で仕事を選ぶことに納得がいきませんでした。私は最初の上司から「仏様(亡くなった方)を最愛の人と思え」と教わり、すごく価値のあることだと自負を持って仕事に取り組んできました。きちんとしたサービス業として適正価格でお客様の役に立ちたいと、独立創業を決意。不透明さを払拭するためにも最初から上場を目指しました。

まずやったのは「余命10年、40歳までの命と思って独立創業を目指す」と家族に宣言したこと。心理学では「公開宣言効果」として、成し遂げたいことを宣言することがその実現に一番効果があると言われています。40歳まで10年間の命しかないと考えると一日一日の重みが変わりました。「いつか独立できたら」なんて悠長なことを考えていたら独立できなかったと思います。

「10年以内の上場・20店舗出店・年間3,600件の葬儀」という目標を掲げ、手作りの事業計画を持って資金調達に奔走しましたが、本当に苦労しました。異業種交流会に参加し何百人に出資をお願いしては断られ、名刺を破られることもありました。それでも5名の方が数百万円出資してくれました。銀行も10数行あたりましたがすべて門前払い。とある地銀の支店長が自分の決裁で1,000万円融資してくれたことは今でも忘れません。

商売の根幹はリピーターづくりです。おじいちゃんの葬儀をおこなった後に、おばあちゃんから「私の時も貴方にお願いしたい」と思ってもらえるように仕事をしなさいと常々社員に話しています。当社も15年目にして年間9,000件の葬儀を引き受ける会社になりましたが、10年目に年間4,000件を達成してから半分の期間で倍以上の仕事をいただけているのは、一重に社員が目の前のお客様に喜んでもらおうと尽くしてきたからです。

既に起業されている方、これから起業を目指す方に伝えたいことはひとつ、「絶対に志を持つこと」です。その仕事をなぜしなければならないのかという切なる理由がなければなりません。日本人は、天命と呼ばれるほどの「志追求型の経営」しかあり得ません。欧米型の目標追求型にあるような、数値を追いかける経営では、従業員を巻き込むことはできません。当社の従業員が誠心誠意サービスに徹しているのは、トップからスタッフまで志を浸透させているからに他なりません。

名証に上場させていただき、東海地区の皆様から信頼をいただいて参りました。上場したからには最高のステージである東証一部を目指しています。それがすなわち信頼の証になるからです。今後もお客様を第一に考え、透明性の高い経営を志向し、「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指して参ります。

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※全文は「THE INDEPENDENTS」2013年7月号 - p12にてご覧いただけます