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「エンジェル投資と地方ベンチャーへの投資」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現専務理事)

スタートアップエンジェル連携推進協議会(略称:SANA)が中小企業基盤整備機構によって昨年11月に設立されました。発起人には日本を代表する4人のエンジェル投資家が名を連ねており、エンジェル投資の活性化とベンチャー企業の資金調達の円滑化を図ることで、ベンチャー企業の創出・成長に寄与することを目指しています。そのうちの一人である池田弘氏(日本ニュービジネス協議会連合会会長)は新潟NSGグループの代表でもあり、地域の中小企業経営者が連携・協力して地方のスタートアップ企業支援も重要視しています。

今年7月までの発表ベースのIPO社数は44社と好調に推移していますが、新興市場に上場する地方企業は4社と、ベンチャー企業は東京に圧倒的に集中しています。一方で事業規模の小さな企業が多い東京プロマーケットへの上場は5社で、うち地方企業は2社です。地方にベンチャー企業が育たない要因の一つに、資金調達の難しさがあると指摘されています。地方に展開するベンチャーキャピタルが少ないだけでなく、個人(エンジェル)投資家層の薄さが一番の要因ではないかと感じます。株式投資型クラウドファンディングを見ると、100名を超えるエンジェル投資家が数分で集まり一瞬で50百万円の資金調達に成功する事例もあります。

前例の無い事業に挑戦するベンチャー企業に投資するには多種多様な企業観が必要です。多額の資金を預かって運用するベンチャーファンドと違い、エンジェル投資家は100%自己責任ですので素早い投資判断ができます。IPOが集中する東京には、数多くのエンジェル投資家がいます。地方ベンチャー企業の育成には、彼らの資金と目利き力を活用するためのマーケット(インフラ)整備が重要になります。



※「THE INDEPENDENTS」2018年7月号 - p2より