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「とかち・イノベーション・プログラム」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現専務理事)

 帯広市の米沢則寿市長は、1985年から25年間にわたり日本合同ファイナンス(現ジャフコ)でベンチャーキャピタル事業を経験されて、2010年4月に帯広市長に初当選してから2018年4月に2期目の任期満了を迎えます。1期目は「フードバレーとかち」構想を立ち上げ、食と農業を柱とした産業政策を実践して地域活性化に貢献しました。2期目は「とかち・イノベーション・プログラム」を推進して、地域愛に溢れる起業家を毎年育てています。

 地域創生と創業支援に対しては、全国の自治体や地域金融機関などの支援者側が積極的に取り組んでいますが、実際に事業を行う起業家は不足しています。
「とかち・イノベーション・プログラム」は帯広信用金庫を中心に北洋銀行と北海道銀行の3行が資金提供し、野村総合研究所の「100人の革新者プロジェクト」をベースとして企画運営されています。スノーピーク山井社長ら地域外の革新者からの刺激を与えながら、地域人材自らが新事業開発に挑戦者を育てる点が特徴です。3年目を迎える今年度は新たに農業や観光に関する10以上のプロジェクトとその起業家チームが生まれようとしています。

 米沢市長が民間人として経営に関わっていたベンチャーキャピタルは10年単位で収益を追求する事業ですが、現在の行政の仕事は10年以上先を見る事業です。地方の起業家を育てるとかち地域と帯広市の挑戦は、北海道の新たなビジネスモデルを作るプロジェクトとして全国への広がりが期待されています。


※「THE INDEPENDENTS」2017年11月号 - p2より