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「リモートワーカー向けのオンラインワークプレース『Groovin』」

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【朝賀 拓視 略歴】
1979年生まれ。早稲田大学国際教養学部中退。10代からスタートアップに関心を持ち、20代前半からいくつかのビジネスを展開。Thammasat University留学後、アクセンチュアに入社。2015年コンサルタントとしてアクセンチュア在籍中にL.A. Glocal Travellers LLC.設立。アクセンチュア退職後、2016年6月にCVO(Chief Visionary Officer)としてMiletos(株)創業、現在代表取締役社長。2018年にアメリカにてGroovin Inc.を設立予定。

【Groovin Inc. 概要】
設 立:2018年予定
資本金:N.A.
主要株主:経営陣
所在地:アメリカ
事業内容:オンラインワークプレース開発

【Miletos(株) 概要】
設 立:2016年6月
資本金:1,200千円
所在地:東京都目黒区目黒2‐11‐3 印刷工場1F
事業内容:オンラインワークプレース開発


<起業家インタビュー>

Groovin Inc. 朝賀 拓視氏

「リモートワーカー向けのオンラインワークプレース『Groovin』」


何気ない会話を通じてチームエンゲージメントを高め、
イノベーションを生み出すツールの開発を目指す起業家

■ リモートワーカー向けのオンラインワークプレース『Groovin』を開発しました。

起業当社から創業メンバー3名が遠隔地で離れて仕事をしていたのですが、プロジェクトが佳境になるとコミュニケーションコストが高くなり、結局夜な夜なオフィスに詰めたりするなど、リモートワークに難しさを感じていました。メンバー全員に家族がおりますので、家族と食事ができたり、通勤に無駄な時間がとられないリモートの利点と、仕事の生産性のトレードオフにジレンマを感じていました。昨年末に事業をピボット、代表を引き受けた時に、自分たちの課題感を解決するツールを作り、リモートとオフィス勤務の良いとこ取りができないかと考え、リモートでもオフィスのような空気間でいつでも会話できるツールを開発しました。

■ アメリカではビジネス向けチャット「Slack(スラック)」が台頭していますが、一方でリモートワークの先駆者だったIBMやヤフーがリモートワーク打ち切りの方向に動いています。

イノベーションを生むためにオフィスに集まるというコンセプトはいいのですが、テクノロジーを駆使すればリモートワークでも実現できると信じています。
現状のリモートワークでは、基本的にテキストベースでコミュニケーションを取り、必要となったらSkypeなどでビデオコールをします。でもオフィスの利点は即時的に何気なく会話を始められることです。最近の研究でもわかってきたことですが、雑談はチームの人間関係を強くし、従業員の幸福度を上げ、結果として生産性を上げます。また、MITの研究でも、テキストでのコミュニケーションはチームエンゲージメントの向上に寄与しないということがわかっています。オフィスで普通でやっているように、リモートワークでも基本的にはフェイストゥフェイスで話し、必要なことだけテキストに落として共有・保存するようになれば、場所はバラバラでもチームとして強くなると考えています。アクセンチュア時代に経験したようなチームとしての素早いコミュニケーションと一緒の空間で共有するすさまじい熱量、「肩を並べて仕事する」環境をリモートワークでも実現したいですね。

■ 『Groovin』の特徴を教えてください。

現在の「会議室システム」などとは違い、仕事中は常時接続を基本とし、気軽なコミュニケーションが生まれるよう心を砕いています。またルームの概念を取り入れており、誰かと話をしたい場合は部屋を作って移動することで、システム上はずっとオンラインであることが特徴です。常時接続を担保するため、当社CTOの平野が持てるすべての最新の技術をつぎ込んだ、長時間繋げたままでも切れないアーキテクチャも強みの一つです。今後コミュニケーションを円滑にするための補助的なツールとして、画面共有やファイル共有、ホワイトボードのような機能も実装していく予定です。

■ 今後の資本政策について教えてください。

来年の3月を目処に約1億円のシードラウンドのファイナンスを行う予定です。現在日本を中心に50社近くのユーザがいますが、近々海外向けのサイトをラウンチし海外のユーザを増やしていきますので、ある程度のトラクションが稼げれば投資家からの資金も集めやすくなると思います。

■ 『Groovin』はアメリカでの展開を目指しています。

最近、日本でも「働き方改革」の取り組みが始まりましたが、大半のリモートワークの実態は週1回とか月2回程度です。一方、アメリカは国土が広く移動が大変なので、ホワイトカラーの約2割は完全に在宅勤務と言われており、マーケットは日本の何十倍、何百倍もあります。来年3月のSXSWでの出展後に、アメリカのコミュニティーに深く刺さるため、来年役員全員でアメリカに移住する予定です。

■ 本日はどうもありがとうございました。最後に朝賀社長の夢を教えてください。

将来の夢は次世代の起業家を支援することです。夢と情熱のある若者をバックアップしていくことで、イノベーションの担い手を一人でも多く創り出し、人類の幸福の総和を増やしていきたいと考えています。そのためにも知的・資本的な体力をつけていかないとですね(笑)。

※「THE INDEPENDENTS」2017年12月号 - p4-5より