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「(株)FSO、(株)Payke、(株)バイオーム」

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早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官。ウエルインベストメント㈱取締役会長
特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ代表理事

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No.798 株式会社FSO(代表取締役 玉那覇 尚也 氏)

玉那覇社長は、米軍嘉手納基地飛行学校のパイロット教官職をスタートに、日米航空教育業界に1995年から従事し、飛行訓練装置関連事業(操縦訓練・体験飛行・機材販売管理)で2012年に会社を設立しました。航空会社への就職までの基礎訓練課程を担当する飛行学校は数が少なく、これから成長が期待されますが、次の諸点を配慮しましょう。

①下地島でのシミュレーター活用の飛行訓練に期待

LCCの急増をはじめ、パイロット不足の解消策に、過去の経験と地の利を活かしたリーズナブルなコストで飛行訓練をする事業です。下地島にグローバル資格の米国航空局訓練の専門施設ができる優位性をさらに明確にし、地域創生のモデルを期待します。

②民間・個人による全国100カ所弱ある飛行場の有効活用を

セスナ機による全国にある飛行場が、国内富裕層を含めてレジャーや観光、さらにビジネスでもっと気軽に有効活用できる時代の到来する可能性があります。このためには、合宿による車の運転免許取得施設があるような仕組みを構築する必要があります。

③持たざる経営による効率経営を

最低限必要なシミュレーターとセスナ機は購入せざるを得ないであろうが、可能な限りのWeb活用、他の訓練施設との連携、地域の民泊を使った合宿施設等、持たざる経営に徹し、丁寧な指導、高い免許取得率、アフターケアの充実など顧客視点の経営を期待します。


No.799 株式会社Payke(代表取締役 古田 奎輔 氏)

古田氏は、東京から高校中退後沖縄に単身移住し、琉球大学では、ネット通販・貿易・越境EC事業に携わり、2014年バーコードを活用した外国人向けアプリ「Payke」を設立し、大学も中退した現在24歳の若き起業家です。世界標準の情報基盤であるバーコードを多面的に活用し、すでに台湾・香港・マカオの3カ国のApp Storeランキングで一位を獲得(無料アプリ部門)しているボーン・グローバルベンチャーであるが、さらに飛躍するためには、次の諸点を注意する必要があります。

①収益モデルの多様性と商品情報プラットフォームへ

バーコード情報の読み取りフリーアプリを訪日外国人に提供し、小売店には多言語ディスプレイを提供し、メーカーには翻訳エンジンを紹介することによって、店頭での販売促進を実現しています。このような小売店課金モデルのプラットフォームの運営と物販・商品開発のコンサルティングというBtoBtoCで、収益の多様化を図っていただきたい。

②インバウンドが急拡大する日本市場で圧倒的な競争優位を

世界共通のバーコードという誰でも使用可能な情報の活用で、技術的には事業参入の障壁が低いといえます。現在すでに日本語ブランドの24万SKU商品の多言語化という先行優位を活かし、日本商品の信頼性が高い台湾・香港等で競争優位性を維持しています。東アジア地域で駆け抜けるスピードと情報産業への脱皮をし、圧倒的な顧客優位性を期待したい。

③グローバル飛躍の第一歩にTOKYOプロマーケットの活用を

ブランド力を強化し、有能なグローバル人材を確保するために東アジア市場でのIPOは不可欠です。いきなり海外市場でのIPOはハードルが高いので、まず日本でプロマーケットでの早期IPO実現を活用し、日本でのIPO実績をつけての海外進出を期待します。


No.800 株式会社バイオーム(代表取締役 藤木 庄五郎 氏)

京都大学時代には、ボルネオ(インドネシア)で昆虫を追い、博士学位を取得し、生物分布の豊富な地域こそ豊かさの証明であるという想いのもとに、世界中の「生物情報」を収集・整理し、生物分布情報の保有数世界一を目指すという夢に挑戦するべく2017年に会社を設立したばかりです。人間を含む生物が生存し続けるためには、必要な情報ですが、次の課題をクリアする必要があります。

①日本のアウトドア派人口5千万人が情報収集窓口に

生物情報はすでにデータベース化されていますが、生物情報の現実の分布図が地球環境の保全という視点からまず欲しいのは確かです。アウトドア派人口5千万人がスマホユーザーであると考えられますが、情報窓口に自動的に収集できる工夫が必要です。

②儲かるビジネスモデルを明確に

知識欲旺盛な個人・環境保全を実践する行政・情報を活用したい事業者の3者の関係性モデルから、どこが、どのような生物情報を欲しているか、どの程度の課金であれば顧客になれるか等マーケットを確認することからスタートしないと、研究者発想になります。

③どこに特化した課金モデルを作るか

生物の中で人間の食欲と直接関係するのは「魚」ではないでしょうか。人口爆発と富裕層の増加で海洋資源を食い尽くし、日本の漁業産業や漁師の高齢化など喫緊の課題があります。漁業や農業というビジネスに特化した生物分布から課金モデルを検討してみて下さい。


2017年9月4日インデペンデンツクラブ月例会 東京21cクラブにて