「「気軽なまなびのマーケット『ストアカ』」」
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<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真左)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)
<話し手>
ストリートアカデミー株式会社
代表取締役 藤本 崇 氏(写真右)
1976年3月26日生。幼少から社会人まで通算15年をアメリカで過ごす。米コーネル大学工学部修士課程卒、スタンフォードMBA修了。ユニバーサルスタジオ、フェデックス、カーライルグループなどを経て、2012年に「まなびを自由に、当たり前に」をビジョンに掲げ、教えると学ぶをつなぐスキル共有サイト「ストリートアカデミー」を個人で創業。
【ストリートアカデミー株式会社】
設 立 :2012年7月17日
資本金 :262,524千円
所在地 :東京都文京区小石川1-4-1 住友不動産後楽園ビル18階
事業内容:まなびのマーケット「ストアカ」の開発運営
URL :https://www.street-academy.com/tokyo/top//
<特別対談>これからのIPOスタイル
「気軽まなびのマーケット『ストアカ』」
■ビジネススキルから趣味の習い事まで、個人が主催する講座・ワークショップ
小原:FacebookやTwitter、LINE等に代表されるSNSの台頭で、「メルカリ」や「Airbnb(エアビーアンドビー)」のようなCtoCプレーヤーが注目を浴びています。藤本:『ストアカ』は、教えたい人と学びたい人をマッチングするサイトです。登録者は全国で約13万人、教えるユーザーは約1万人います。単発か短期で参加できる講座やワークショップで、受講料も平均3000円~5000円と割安なので、気になるスキルを気軽に利用できます。収益モデルはマッチングの手数料です。入会金や月謝は一切なく、講座掲載も無料です。
小原:専門学校やスクールの市場規模は3兆円といわれています。潜在的なユーザーは沢山いると思いますが、マーケティングはどう行っていますか。
藤本:注力している分野は「起業・副業」です。現在、プログラムの約5割はビジネススキルやITなどのハードスキルです。『ストアカ』を通じて転職や起業をしたり、趣味が高じて副業を始めた人も出てきています。当面はこの部分を事業成長のドライバーとしていきます。
小原:リクルートは同様の事業から撤退し、現在はスタディサプリに絞っています。
藤本:企業課金型のBtoCプレーヤーはいますが、個人をリアルにマッチングするには相当な手間がかかるため、現在CtoCの競合はありません。
小原:個人間取引となると、BtoCに比べて信頼度や安心、安全といった面で劣る可能性が高いと思われます。信頼度を高めるためのシステム整備や講師の質を上げていくことで、『ストアカ』の信用力も高まり、ユーザー数も伸びていくと思います。
■エンジニアから起業家へ
小原:複数の企業でいろいろな経験をされています。藤本:米コーネル大学で機械航空工学を専攻していました。新卒で入社したユニバーサルスタジオでは遊園地の乗り物のエンジニア、次に勤めたフェデックスでもエンジニアとしてオペレーションの企画を担当していました。スタンフォードでMBAを取得した後、日本に戻って投資ファンドのカーライルグル―プに参画しました。実は仕事の合間に映画学校や料理学校にも通っていました。新しいことを学ぶことが大好きなんです。
小原:起業のきっかけを教えてください。
藤本:2005年にMBAを取得するためにスタンフォード大学に留学していたときに聞いたスティーブ・ジョブズのスピーチに感銘を受けたことがきっかけです。自分もいつか新しい大きなことをやりたいと思うようになり、シリコンバレーのスタートアップのビジネスモデルをいろいろと研究していました。ある日、今のビジネスモデルの原型となるアメリカのベンチャーがサービスを立ち上げたニュースを見たときに、直感的に「やりたい」と思い2012年に起業しました。
■学びを「文化」へ変えていく
藤本:マッチングの場は作ったので、今後は学ぶ行為自体を「文化」として流行らせたいと考えています。目指しているのはライザップです。ライザップは、「自分を変える」という意識を一般層に認知させることに成功しました。小原:認知度をあげるためには、集中して広告宣伝を行う必要があります。
藤本:今までに3.5億円ほど資金調達していますがまだまだ不十分です。次回のラウンドでは3~4億円調達して、そのうちの半分を広告に投下しようと考えています。
小原:現在は単発の講座がメインですが、継続受講者を増やすことが業績拡大のポイントかと思います。
藤原:今後は、継続的に受講ができるような月謝教室の機能も付加していきます。認知度向上のため、関西や九州エリアで積極展開していきます。また、大企業や地方自治体とのコラボも進めていきます。
小原:個人が新しい一歩を踏み出しやすい社会を是非とも創っていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
<対談を終えて>
小原:「学びを文化」にすることを「C to Cビジネス」で展開するとなるといかにコンテンツのクオリティを上げるか、いかに認知度を上げるか、が課題となります。社長は既にこの課題を認識しており、そのために必要な資金調達を考えているとのこと。今後はスピード感をもった事業展開を期待しています。藤本:小原様との対談を通じて、シェアリングエコノミーサービスを社会的に認知される規模にまで成長させていくにあたっての課題やそれを打破する打ち手を示唆頂きました。やるべきことは見えているので、引き続きたゆまぬ努力とチャレンジを続けていきたいと思います。
※「THE INDEPENDENTS」2017年9月号 - p22-23より