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「(株)マイオリッジ、(株)バイオセラピー開発研究センター」

公開


早稲田大学
商学博士 松田 修一 氏

1943年山口県大島郡大島町(現周防大島町)生まれ。
1972年早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。
1973年監査法人サンワ事務所(現監査法人トーマツ)入所、パートナー。
1986年より早稲田大学に着任し、ビジネススクール教授などを歴任。日本ベンチャー学会会長、早大アントレプレヌール研究会代表世話人も務める。2012年3月教授を退官。ウエルインベストメント㈱取締役会長
特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ代表理事

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インデペンデンツクラブ月例会で、IPOを目指している企業2社に対する講評を致します。

No.784 株式会社マイオリッジ(代表取締役 牧田 直大 氏)

牧田氏は、京大工学研究科の学生で、iPS細胞由来心筋細胞を利用した創薬支援ツールの開発を目的に、2016年8月に設立したばかりの会社であるが、既に125百万円のエンジェルラウンドの資金をVCから確保し、2020年7月を最終事業年度にIPOを目指していますが、次のような課題を解決する必要があります。

①マイオリッジ独自の付加価値活動は何かの明確化を

iPS細胞株を活用した挑戦事業領域は理解できましたが、京大及び研究所と会社の活動との関係性を整理し、会社独自の付加価値活動を明確にしておかないと、事業の収益モデルを対外的に説得できません。

②開発競争で勝ち残れる競争優位性は

iPS細胞由来心筋細胞によって創薬開発の期間を短期化し、低コストの医薬開発に貢献することに挑戦しているベンチャーは一社ではありません。どこの会社と競合し、どこに課題があるかを明確にし、説得力ある競争優位性を明確にする必要があります。

③Win-Winの研究開発連携が進められる体制を

設立したばかりの会社であるので、事業会社との本格的な研究開発連携はこれからです。BtoBビジネスにとって、製薬会社等とWin-Win連携を進める契約等を対等に進めるための会社の体制づくりが急がれます。


No.785 株式会社バイオセラピー開発研究センター(代表取締役 豊田 剛史 氏)

金沢大学太田富久教授が開発した天然物原料による機能性素材から加工食品の原料供給を目的に、2006年に設立した。現在IPOをする時期は明確でないが、溶けないアイス事業が急拡大しており、商品開発提携先や組織体制の強化の人材確保のためのプレゼンであったが、急成長に耐える体制作りのために、次の課題を解決する必要があります。

①素材の研究開発力の強化と販売力の自由度を

天然物原料による機能性素材の研究開発した成果物を素材として加工食品会社に原料供給していた経営基盤の開発力を維持できるかが、機能性商品の自社販売力との併存の確立が持続的成長のために不可欠です。

②溶けにくいアイス「金座和アイス」事業急拡大のための対応を

イチゴポリフェノールはクリームの保形性を残すという特性を生かし溶けにくいアイス(物質特許)が、面白い形状や多様な着色とともにインスタグラムで情報が拡散し人気化している。専用の店舗が急ピッチで拡大しているが、従来とは全く異なるビジネス形態の運営であるので、店舗管理の責任者をはじめ体制整備が急務です。

③原料の安定的な確保を

金座和アイスのヒットで金沢地域中心の原料確保では限界が来ている。原料の産地の明示を含め原料の安定的な確保で、顧客の信頼をより高めることが不可欠です。



2017年7月10日インデペンデンツクラブ月例会 東京21cクラブにて