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「「最先端技術で“溶けないアイスクリーム”を実現!」」

公開

<聞き手>
株式会社AGSコンサルティング
専務取締役 小原 靖明 氏(写真右)
1985年明治大学大学院法学研究科修了。1989年当社入社。2000年IPO支援会社ベックワンソリューション設立、代表取締役就任。2007年合併に伴い、当社取締役就任。2012年3月常務取締役。2014年3月専務取締役(現任)

<話し手>
株式会社バイオセラピー開発研究センター
代表取締役 豊田 剛史 氏(写真左)
1977年3月9日大阪市生まれ。大阪府立池田高校卒業。2000年桃山学院大学経済学部卒業後、IT会社、コンサルティング会社を経て、2006年株式会社バイオセラピー開発研究センター創業。

【株式会社バイオセラピー開発研究センター】
設 立 :2006年4月27日
資本金 ::20,000千円
所在地 :石川県金沢市東山1-5-5
事業内容:バイオテクノロジーに基づく食品・医薬品素材の研究開発。溶けないアイス店「金坐和アイス」の運営展開
URL :http://www.biotherapy.co.jp//


<特別対談>これからのIPOスタイル

「最先端技術で“溶けないアイスクリーム”を実現!」


■溶けないアイスクリーム『金座和(かなざわ)アイス』

小原:今年の4月から溶けないアイスクリーム『金座和アイス』の販売を開始しました。
豊田:『金座和アイス』は、環境によって多少の差はありますが、室温40度で3時間経っても殆ど溶けません。冷たいときはアイスクリーム、温度が上がると生クリームのような美味しさが楽しめます。現在、金沢、原宿、大阪アメリカ村の3店舗で販売しています。
小原:溶けない理由を教えてください。
豊田:もともとイチゴポリフェノールを活用した化粧品を販売していますが、研究を進めるうちに、イチゴ果実より抽出したポリフェノールにクリームの気泡性と保形性(水分と油分が分離しないような橋渡しの役目)を向上させる作用があることを発見しました。合成物(増粘安定剤)を使用せず天然素材にこだわった商品開発を行ったところ、特徴的な食感があり、溶けにくいために造形性や携帯性の優れたアイスクリームが生まれました。2014年に特許(特許第5603088号)も取得しました。

■石川県産の野菜や果物を中心とした機能性素材の開発

小原:設立当初から一貫して健康長寿に関する天然素材の開発を行っています。
豊田:金沢大学医薬系環境健康化学研究室の太田富久名誉教授を研究責任者に迎え、同大学で研究開発された安全性が高く、副作用がない天然成分を事業の中心として、まだ市場に出回っていない新規素材の開発に重点を置いています。溶けないアイスクリームも太田教授の研究成果の一つです。
小原:金沢大学の太田教授と知り合ったきっかけを教えてください。
豊田:大学卒業後、IT会社や不動産会社を経てコンサルティング会社に就職しました。コンサル先にたまたま太田教授が関与されていたことがご縁で知り合いました。太田教授の研究されている天然素材の独自性に惚れ込み、1年かけて口説き落とし、当社を設立した際に取締役に就任していただきました。
小原:溶けないアイスクリーム以外に、金時草(加賀野菜)事業、ドル・ミナリ(韓国せり)事業、美容ドリンクとしてのハトムギ事業、化粧品原料としてのイチゴポリフェノール事業、水質改良剤(K525)事業を展開されています。
豊田:機能性食品原料は、サプリや化粧品などのメーカーに卸していますが、ただ販売するだけでは売れる商品になりませんのでセールスプロモーションも合わせて行っています。

■BtoBからBtoCへ

小原:溶けないアイスクリームで認知度があがったら、既存商品も合わせて販売できると思います。
豊田:『金座和アイス』は顧客への直販のため、将来的には機能性食品原料も直販にシフトしていきたいと考えています。
小原:今後、アイスクリーム店舗は自社で展開していくのでしょうか。
豊田:10店舗を目処に出店していく計画です。また、熊本城の周辺店舗に「くまモン」アイスを卸したりといったコラボ企画も順次進めていきます。
小原:今後の資金計画をどうお考えですか。10店舗出店するとなると、期間利益だけでは難しいです。
豊田:資本金を増やしたくないこともあり、現在は全て融資で賄っています。
小原:事業の成長スピードを考えると、直接金融での資金調達も検討したほうがよいかもしれません。こういう事業は瞬発力が大事です。そのためには、管理担当者の採用も必要になってくると思います。今後の経営計画の描き方が貴社の発展のポイントです。


<対談を終えて>

小原:これまで「大学研究室発」の機能性素材食品を開発・製造・販売してき貴社がこれまでにない『金座和アイス』という製品を手にしたことで、今後の大きな成長が期待出来ます。会社の発展という意味では、新たなフェイズに入り、何と言っても資金と人材の調達が喫緊の課題となるでしょう。 社長によれば、既にこの課題に早期に対応すべく準備を進めているとのこと、今後の事業展開が楽しみです。

豊田:小原様との対談を通じて、薄々感じていました人材と資金についての課題、特に出店リスクについてを明確に感じました。今後はリスクを踏まえたうえでどのようなバランスで事業展開していくのかを考える良い機会になりました。しっかりリスクを見据え、チャレンジを続けていきたいと思います。

※「THE INDEPENDENTS」2017年9月号 - p22-23より